日本内科学会雑誌
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急性心筋硬塞に伴う心臓破裂の臨床的検討
望月 茂仁木 偉瑳夫水谷 孝昭桐山 利昭角水 圭一和田 勝礒田 次雄谷口 成美井上 正司
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1981 年 70 巻 1 号 p. 34-42

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抄録

我々は現在迄に急性心筋硬塞に伴う心臓破裂を12例経験したので臨床的に検討を加えて報告する.年令分布は60才台, 70才台に多かつたが, 40才台が2例みられた,男女比は6:6であつた.心臓破裂の発生時期は5日目, 6日目に多くみられ,平均5.2日であつた.前側壁硬塞,後側壁硬塞,前側壁+下壁硬塞などの広範な硬塞に心臓破裂が多発する傾向がみられた.剖検による心臓破裂部位は,前壁2例,心尖部4例,後壁4例,側壁2例であつた.心臓破裂発生後死亡迄の時間は平均36.3分であり,殆ど全例突然死といえる.高血圧症の既往歴は12例中9例(75%)に認められた.心筋硬塞,心不全の既往歴を認めたものはなく,狭心症の既往歴は1例にのみ認めた.心筋硬塞発症後の高血圧を12例中7例に認め,境界域高血圧を2例に認めたことは,心筋硬塞発症後の高血圧が心臓破裂に対する危険因子として重要であることを物語つている.剖検による心重量の平均は547g,左室壁厚の平均は2.2cmと,かなりの心肥大が認められた.心臓破裂時に徐拍性不整脈として,房室結節調律,洞性徐脈,房室ブロック,心室固有調律などを認め,頻拍性不整脈として,心房細動,心房性頻拍などを認めた.

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