日本内科学会雑誌
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家族性アミロイドポリニューロパチーの心電図異常
池田 修一進藤 政臣柳澤 信夫治田 精一
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1982 年 71 巻 6 号 p. 787-794

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抄録

家族性アミロイドポリニュロパチーのスカラー心電図の特徴は,従来,種々な形の不整脈,伝導障害と,四肢誘導の低電位,右側胸部誘導のQSパターンとされているが,我々は,右側胸部誘導のR波の減高,深いS波(S≧25mm)と, V5, V6のR波減高(R≦10mm)の組み合わせも重要なことを指摘した.またスカラー心電図所見と,神経症状の対比では,低電位,右側胸部誘導のQSパターンを示す例は重症例に多く,右側胸部誘導のR波の減高,深いS波と, V5, V6のR波減高を示す例は軽症例であつた.一方ベクトル心電図は, 5例で心筋硬塞様パターンが認められ,水平面所見により,前壁中隔硬塞様パターンと,局所性前壁硬塞様パターンの2群に分けた.そして前者は,正面が左軸偏位を示し,後老は左脚前枝ブロックを示していた.人工ペースメーカーを植え込んだ3例の心内閾値と, 1例の心病理組織所見の検討により,家族性アミロイドポリニューロパチーでは,心内膜下筋層を中心に,強いアミロイド沈着が存在し,その結果,閾値上昇によるペーシング不全を生じやすいことが推測された.

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