日本内科学会雑誌
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正常妊娠・分娩後に発症したempty sellaを伴う部分的下垂体機能低下症の1例
副腎皮質刺激ホルモンとプロラクチンの欠損
岡田 耕治石川 三衛斉藤 寿一熊倉 忍坂本 美一葛谷 健
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1986 年 75 巻 5 号 p. 670-675

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抄録

28才の女性.主訴は無月経,寒がり,易疲労感および体重減少. 26才で第1子を妊娠し,合併症もなく健康な女児を出産した.産前,産後に乳汁分泌はなく,月経も再来しなかつた.血清コルチゾル,血漿ACTH,血清プロラクチン(PRL)は,それぞれ0.7μg/dl, <10pg/ml, 2.2ng/mlと低値で,またいずれも分泌刺激負荷に全く無反応であつた.他の下垂体ホルモンの分泌と副腎皮質機能は正常に保持されていた.また頭部CT像にてempty sellaを認めた.本例は,正常の妊娠と分娩後に発生したACTHとPRLの欠損を示す部分的下垂体機能低下症である.抗下垂体抗体が陽性であることから,妊娠を契機に発症又は増悪した自己免疫機序がその原因と考えられる.

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