日本内科学会雑誌
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L-DOPS (L-threo-3, 4-dihydroxyphenylserine)が有効であった糖尿病性起立性低血圧の1例
吉川 浩子川井 紘一井上 節子村山 耕子葛谷 信明藤田 敏郎小出 義信山下 亀次郎吉沢 和朗水澤 英洋
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1987 年 76 巻 11 号 p. 1695-1700

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抄録
L-DOPS (L-threo-3, 4-dihydroxyphenylserine)は生体内でノルエピネフリン(NE)に変換して生物活性をあらわす薬物であるが, 10年以上の糖尿病歴をもつ46才,男性の糖尿病性起立性低血圧に対し,本薬を用いたところ有効であった. L-DOPS投与前,臥位の血圧は124/88mmHg,坐位3分後78/58mmHg,立位にて失神.この間,血漿NE濃度は増加しなかった. 40ng/kg/minのNE注入により明らかな昇圧反応を示し,腓腹神経生検では有髄,無髄神経の脱落を認めた.以上から,本例は交感神経の障害によるNE欠乏とそれに伴うNE感受性増加状態にあったと考えた. L-DOPS300mgの投与により,臥位,坐位血圧の上昇,症状の改善をみた.
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