1987 年 76 巻 6 号 p. 802-809
インスリン依存性糖尿病260例,インスリン非依存性糖尿病1018例,自已免疫性甲状腺疾患283例について,抗膵島細胞抗体を測定し,その臨床的意義を追求した.それぞれにおける抗体陽性率は, 24.6%, 0.7%, 1.4%であり,インスリン非依存性糖尿病例での抗体陽性例7例中3例でインスリン依存性への移行が認められ,これらはすべて補体結合性膵島細胞抗体が陽性であった.自己免疫性甲状腺疾患例ではいずれも補体結合性膵島細胞抗体は陰性であり,糖尿病は発症していない.インスリン依存性糖尿病の発症を予測する指標の一つとして補体結合性膵島細胞抗体があり, HLA,経時的糖負荷試験などとの組み合わせで,より確実に発症が予測でき得ると推測された.