日本内科学会雑誌
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76 巻 , 6 号
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  • 辻 正富, 立石 今日子, 高橋 昭三
    1987 年 76 巻 6 号 p. 791-795
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Vasoactive intestinal polypeptide (VIP)は,中枢,末梢神経組織に高濃度に存在している.一方最近,神経支配を受けない好中球にもVIPの存在が認められている.今回好中球VIPの動態,役割を知る目的から,健常者,糖尿病患者の好中球よりVIPを抽出後,濃度を測定し,結果について比較,検討を加えた.糖尿病でのVIP濃度は750±68.0pg/108 cellsと高値で,空腹時血糖,ヘモグロビンA1値と有意の正の相関を認めた.網膜症を有する症例では,有しない症例と比較してVIP濃度は低値を示したことから,糖尿病細小血管障害との関連が示唆され,細小血管障害の進展,増悪に,好中球VIPが関与していることが推測された.
  • 工藤 啓, 阿部 圭志, 保嶋 実, 上月 正博, 清野 正英, 佐藤 牧人, 尾股 健, 丹野 雅哉, 吉永 馨
    1987 年 76 巻 6 号 p. 796-801
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近6年間,当教室で腎血管撮影を施行した本態性高血圧(EH) 151例について,重複腎動脈(MRA)の頻度,腎機能,眼底検査所見,血漿レニン活性(PRA)等について検討を加えた. EHのMRAの頻度は37.7%であり,正常血圧者の28.0% (25例)より高い傾向を示した. EHをMRAを有する群と有さない群とにわけて比較すると,診断時年令,入院時血圧,腎機能,眼底所見に差はなく, MRAはEHの臨床症状および所見と関係ないことが示唆された.しかし, EHのMRAを有する腎臓側の分腎レニン値はMRAを有さない腎臓側よりも高値であった.また, captoprilによるPRAのprovocation testではMRAを有する群で高率に過大反応を示し, MRAは, PRAの過大反応をおこしやすい腎循環状態にあることを示唆した.
  • 岡 暢之, 野津 和巳, 野手 信哉, 鍋谷 登, 久野 昭太郎, 桜美 武彦
    1987 年 76 巻 6 号 p. 802-809
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    インスリン依存性糖尿病260例,インスリン非依存性糖尿病1018例,自已免疫性甲状腺疾患283例について,抗膵島細胞抗体を測定し,その臨床的意義を追求した.それぞれにおける抗体陽性率は, 24.6%, 0.7%, 1.4%であり,インスリン非依存性糖尿病例での抗体陽性例7例中3例でインスリン依存性への移行が認められ,これらはすべて補体結合性膵島細胞抗体が陽性であった.自己免疫性甲状腺疾患例ではいずれも補体結合性膵島細胞抗体は陰性であり,糖尿病は発症していない.インスリン依存性糖尿病の発症を予測する指標の一つとして補体結合性膵島細胞抗体があり, HLA,経時的糖負荷試験などとの組み合わせで,より確実に発症が予測でき得ると推測された.
  • 下野 武俊, 久保 田功, 池田 こずえ, 立木 楷, 安井 昭二
    1987 年 76 巻 6 号 p. 810-817
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    運動負荷後に出現する陰性U波の臨床的意義について,虚血性心疾患を疑って冠動脈造影を施行した265例のうち,心筋梗塞,心筋症,弁膜疾患,心室内伝導障害を除いた147例(男性111名,女性36名)を対象として,冠動脈の狭窄度,出現する誘導部位,振幅,型,負荷に伴う血圧,心拍数の変化から検討した.冠狭窄群85例串29例(34.1%)に陰性U波を認め,うち25例は内径の90%以上の高度冠狭窄を有していた.陰性U波の出現する誘導部位は重症な病変部位を反映していた.陰性U波の出現機序として,狭心症患者においては,心筋虚血と関連している事が示唆された.
  • 中島 弘, 田島 幸児, 中島 忠久, 飯田 さよみ, 河野 典夫, 森脇 要, 垂井 清一郎
    1987 年 76 巻 6 号 p. 818-824
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    性腺機能低下,再発性下腿潰瘍を主訴とする34才男性例の染色体を分析した結果, Klinefelter症候群の珍しい亜型とされる48, XXYY症候群と判明した.母親と弟の染色体構成は正常であった.本例は高度の知能障害,骨格系の異常,皮膚紋理の異常,皮膚血管系の異常など, XXYY症候群において注目されている特徴的な表現型を有するとともに,家族性腎性低尿酸血症を合併していた.しかし攻撃的性格はまったく認めなかった.また本例に合併した下腿潰瘍に対しては自家植皮術とテストステロンの補充療法が有効であった.本邦報告症例の文献的調査を行なった結果,本例はモザイクを伴わないXXYY症候群としては我が国で第14番めの症例にあたると判断される.
  • 羽野 修, 宇都宮 俊徳, 奥 保彦, 青井 渉, 橋場 邦武, 斉藤 厚, 朝永 昭光, 神田 哲朗
    1987 年 76 巻 6 号 p. 825-831
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    50才男性でアスベストにより血性胸水を生じた1例である.症例は30年間のアスベスト暴露歴を有し,昭和58年12月胸部写真で胸水貯留を無症候性に認め,昭和59年2月胸水が増加して入院精査した.胸水は血性滲出液で細胞診や細菌培養は陰性.喀痰中や気管支肺胞洗浄液中に多数のアスベスト小体が証明され,悪性腫瘍や結核などを否定し,無治療で経過観察をした. 6カ月後に胸水が減少し,胸膜肥厚や肺の線維化が認められ, 2年6カ月後の現在も悪性腫瘍の発生はなく,アスベストによる良性胸水貯留と考えられた.アスベストによる良性胸水貯留と診断しえた症例の報告は,本邦において少なく,その診断に気管支肺胞洗浄が有用と思われた.
  • 松田 正之, 中山 淳, 治田 精一, 塚田 直敬, 柳沢 信夫, 古川 猛
    1987 年 76 巻 6 号 p. 832-836
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高安病でメサンギウムの増加を伴う糸球体腎炎が合併した報告はあるが,アミロイドーシスの合併例はほとんど無い.本例は大動脈弁閉鎖不全とネフローゼ症候群を呈し,腎生検でメサンギウムの増加を伴う糸球体腎炎と,間質にアミロイドの沈着が見られ,その沈着部位に一致してPAP染色でIgMの沈着が証明された.大動脈造影では腹部大動脈に不整な狭窄像が見られ,さらに大動脈弁置換術施行時に得られた大動脈壁の組織所見から高安病と診断された.従来から高安病には種々の免疫異常の合併が報告されているが,本例でも糸球体腎炎とアミロイドーシスの発生に何らかの免疫異常が関係している可能性があり,若干の考察を加え報告した.
  • 大和田 稔, 新津 洋司郎, 漆崎 洋一, 古川 勝久, 根田 寛, 渡辺 直樹, 高後 裕, 漆崎 一朗
    1987 年 76 巻 6 号 p. 837-843
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍に合併した後腹膜線維症は比較的まれな疾患であり,その発症機序も不明な点が少なくない.今回我々はスキルス胃癌に伴った後腹膜線維症の1例を経験したので報告する.症例は73才女性で,両側水腎症で発症,直腸狭窄を合併し,特発性後腹膜線維症が疑われた.水腎症や直腸狭窄は長期間進行せず,半年後にはスキルス胃癌を発症した.本症の後腹膜線維症とスキルス胃癌との関係を考察すると,臨床的にoccult cancerの状態のスキルス胃癌が存在し,その後腹膜への浸潤が引き金となってchronic sclerosing inflammationをくり返し,後腹膜線維症の病態が形成されたと考えられる.
  • 清水 弘行, 下村 洋之助, 小林 功, 小林 節雄
    1987 年 76 巻 6 号 p. 844-848
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化管ポリポーシスを合併したbasal cell nevus syndromeの1例を経験し,内分泌学的異常について詳細な検討を加えた.症例. 48才,女性,息切れを生訴に入院.肥満と知能低下や体幹失調等の神経学的異常,口腔内から直腸にかけてほぼ全域にポリープの多発と子宮体癌(lb)を認めた.下垂体機能検査ではTRH負荷にてGH異常分泌, TRHやスルピライド負荷時とクロールプロマジン負荷時のプロラクチン分泌に解離現象を認めた.また糖,アルギニン各負荷時には血糖の反応は正常に保たれたが,インスリン反応が明らかに低下していた.以上の結果より,本症候群においては間脳下垂体系におけるホルモン分泌機構にも異常の存在することが示唆されたが,さらに症例の集積が必要と思われた.
  • 下村 旭, 水谷 安秀
    1987 年 76 巻 6 号 p. 849-854
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺における高度な転移性石灰化症を来した,腎硬化症による慢性腎不全症の68才男性剖検例を報告する.症例は高窒素血症および肺うつ血のために血液透析を開始したが体外循環に耐えられず腹膜潅流で管理された.死亡する約3カ月前より右下肺野に微細な撒布性の石灰化をみとめる浸潤陰影が出現,以後急速に浸潤および結節性変化が広がった.剖検所見では肺胞壁にKossa染色で黒染する燐酸カルシウムの沈看を認め,その周囲に異物臣細胞を有する肉芽性変化をみとめた.本例のように短期日に広範な石灰化を生じることは非常にまれであり,腎不全の管理の上で示唆に富む症例と思われたので報告する.
  • 藤森 由佳子, 岡本 新悟, 辻井 正, 岡本 康幸, 田村 雅宥, 山田 全啓, 慰斗 秀興
    1987 年 76 巻 6 号 p. 855-860
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    甘草メタノール抽出エキス製薬物(FM-100)により,偽性アルドステロン症をきたした3症例を経験したので報告する.症例は66才の男性と, 40才と57才の女性,いずれも慢牲胃炎の診断で本薬物を服用中,高血圧症,四肢脱力,低力リウム血症などの鉱質コルチコイド過剰に伴う症状を呈し,中止することにより消失した. FM-100に含まれるグリチルリチン量は少なく,これらの症例に投与されていた量に相当するグリチルリチンで偽性アルドステロン症をきたした報告はほとんどない. FM-100に含まれるグリチルりチン以外の成分が本症例の発症に関与している可能性が示唆され,グリチルリチン製薬物に対する再検討を要するものと考え,文献的検索を加えて考察した.
  • 中尾 真二, 上田 幹夫, 山下 静也, 松沢 佑次, 原田 実根, 松田 保
    1987 年 76 巻 6 号 p. 861-866
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は28才,男性.腱黄色腫とび漫性甲状腺腫の精査のため当院入院.血清総コレステロール(chol) 500mg/dl,中性脂肪115mg/dl, T423.1μg/dl, T35.12ng/ml,等の検査所見と,家系調査および皮膚線維芽組胞培養による125I-LDL結合能測定からバセドウ病を併発した家族性高cho1血症と診断.血清総cholは甲状腺機能が正常化するにしたがって上昇したが, probucolの内服により最終的にはバセドウ病の治療前値以下まで低下した.本症例では著しい腱黄色腫と高chol血症を呈しながら有意な冠動脈病変がみられなかったが,その原因として食事,遺伝因子の他に,甲状腺機能亢進状態が冠動脈硬化の進展を遅らせていた可能性も考えられた.
  • 石川 三衛, 斉藤 寿一, 金子 健蔵, 岡田 耕治, 葛谷 健
    1987 年 76 巻 6 号 p. 867-873
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    頭部外傷後1~2週間以内に発症した老令者の著しい低ナトリウム(Na)血症(105~117mEq/l)の3例を報告する.尿中Na排泄は225~324mEq/dに達した.低血漿浸透圧にもかかわらず,血漿ADHは5.5±1.6pg/mlと相対的に高値であった。しかし, 3例とも体重減少・脱水所見を認めADH分泌不適合症候群には合致しなかった.血漿レニン活性は0.25±0.13ng/ml/h,血漿アルドステロンは1.5~5.5ng/dlであった.両者は立位フロセミド試験に無反応であるが,アルドステロンの分泌はACTHに正常な反応を示した.低Na血症は比較的多い量のfludrocortisone acetateにより正常化した.本病態には, ADHの分泌亢進やレニン・アルドステロン系の異常など中枢性・腎性因子が関与することが示唆される.
  • 蔡 清霖, 島 正義, 中田 恵輔, 河野 健次, 佐藤 彬, 楠本 征夫, 小路 敏彦, 長瀧 重信, 西本 隆男, 山口 恵三
    1987 年 76 巻 6 号 p. 874-877
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    われわれは, 25才の初産婦で,分娩中に高熱,嘔吐,下痢および全身皮膚の発赤が突然出現し,その後ショック状態に陥った症例を経験した.細菌学的検査では,患者の腟分泌物から黄色ブドウ球菌が検出され,さらに, toxic shock syndrome toxin-1 (TSST-1)を産生することも証明された.以上より,本症例をtoxic shock syndromeと確定診断した.米国においては,すでに2000例以上が報告されているが,本邦での報告ははなはだ少ない.本邦において,膣分泌物から病原菌並びにTSST-1が証明されたのは,本例が第1例であるので報告する.
  • 名村 正伸, 金谷 法忍, 堀田 祐紀, 吉長 知史, 大家 他喜雄, 関 雅博
    1987 年 76 巻 6 号 p. 878-883
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は30才,男性で右不全麻痺にて入院.口唇,掌蹠に色素斑を認め,心尖部に汎収縮期性心雑音を聴取した.心エコー図,心臓カテーテル検査により左房内腫瘍を確認,これによる脳塞栓と診断し,腫瘍摘除術を施行,組織学的には粘液腫であり,僧帽弁腱索断裂をも伴っていた.消化管ポリポーシスは認められなかったが,色素斑はPeutz-Jeghers症候群の色素斑と一致した. Peutz-Jeghers症候群は種々の臓器に腫瘍を合併しやすく,また,左房粘液腫は皮膚病変を伴うことがあることを考慮すると,本例の色素斑と左房粘液腫との間には,成因上,何らかの関係があるものと推測された.さらに,左房粘液腫と僧帽弁腱索断裂との合併も極めてまれなものであった.
  • 天野 利男, 焦 昇, 中島 忠久, 上戸 寛, 亀田 芳, 久保 正治, 徳永 勝人, 松沢 佑次, 垂井 清一郎
    1987 年 76 巻 6 号 p. 884-885
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例, 33才,男性. 29才よりBehçet病にて治療中.緩徐に進行する右心不全にて入院.精査にて左肺動脈基始部の完全閉塞,右肺動脈の高度の狭窄が判明,直ちに血栓除去術を施行.術後,右心不全症状は完全に消失した.手術時の肺動脈組織診により,肺動脈炎に伴う肺動脈血栓症の存在が確認された.本例は両側性肺動脈基始部にBehçet病に基づく閉塞病変を有するも,救命しえたまれな症例と考えられる.
  • 永山 雄二, 水戸 布美子, 木原 正高, 古林 正夫, 和泉 元衛, 長瀧 重信
    1987 年 76 巻 6 号 p. 886-887
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    今回は,我々はTRH試験無反応状態を伴った低T3症候群患者で血中甲状腺ホルモンとTRH試験を経時的に観察したので報告する.症例は57才,女性.吐・下血を主訴に入院.入院時,血中T3低下(31ng/dl:正常値70~180)とrT3上昇, TRH試験無反応から低T3症候群と考えた.入院後の経過は順調で約30日後にはT3 71ng/dlと正常範囲にはいった.しかし, TRH試験の反応が回復したのは約70日後(T3 109ng/dl)であった.
  • 岡田 靖, 峰松 一夫, 宮下 孟士, 山口 武典
    1987 年 76 巻 6 号 p. 888-889
    発行日: 1987/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    中枢神経疾患に続発した慢性型抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)と診断された59才男性.他院でジメクロサイクリンを投与されたが,下痢により中止.当院での水分制限およびフェニトイン投与も効果不十分のため,フロセミド40mgと塩分負荷(Na 200mEq/日)を行ない,自覚症状の消失,血清Na値の改善(126→139mEq/l)あり,良好な結果を得た.慢性型SIADH,特にジメクロサイクリン投与の不適当な例には,塩分負荷フロセミド投与は試みられるべき治療法と考えられる.
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