1988 年 77 巻 6 号 p. 863-868
23才,女性.産褥子〓による痙〓発作後に, rhabdomyolysis,急性腎不全,急性肝不全,心筋障害, DICを併発.臨床経過,検査所見よりexertional heat strokeと診断.血漿交換,血液透析を行なったが救命し得なかった.剖検所見では,全身骨格筋のびまん性変性,壊死,ミオグロビン円柱を認める急性尿細管壊死,門脈流域の高度循環不全による肝,脾の広範壊死が認められた.高度な痙〓が横紋筋の破壊とこれに伴う急性腎不全を引き起こし,過剰な運動による門脈血流の低下と高熱が肝脾の広範壊死を引き起こしたものと考えられた.子〓発作が原因となったexertional heat strokeは報告例がなく,本例はまれな症例と考えられた.