1989 年 78 巻 10 号 p. 1457-1461
51才女性.高校時代にチアノーゼ,太鼓ばち指に気づき, 25才時胸部X線異常陰影(両側全肺野に境界明瞭な多数の均等性大結節陰影)を指摘されるも放置.その後29年間無症状に経過したが,心不全を発症し,肺動脈造影にて両側多発性肺動静脈瘻と診断した.また気管支動脈造影により気管支動脈-肺静脈瘻の合併も確認した. Rendu-Osler-Weber病の合併はないが,子宮・腎動静脈瘻の合併が疑われた.本例のように短絡率が大(40%)で著明な低酸素血症,多血症を伴い,体動脈とも交通がある肺動静脈瘻では,心不全が初発症状となりうる.