1989 年 78 巻 10 号 p. 1482-1483
症例: 71才,男性.既往歴: 65才時, Vit. B12欠乏性臣赤芽球性貧血.現病歴:昭和63年6月全身倦怠感,労作時息切れにて来院.高色素性大球性貧血,骨髄のmegaloblastic change, Vit. B12の低下,低γ-グロブリン血症および低補体価を認め,胃液検査では無酸を呈した.口腔内に扁平上皮癌を,胃幽門部にはIIa+IIc型早期胃癌を認めた.本例は,重複癌を同時性に認め,低γ-グロブリン血症,低補体価を認めた悪性貧血のきわめてまれな例である.