日本内科学会雑誌
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活性酸素
青柳 一正
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1991 年 80 巻 6 号 p. 936-940

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抄録

各種の疾患において活性酸素が組織障害の直接的な原因物質であることが判明してきた.原子や分子が不対電子を有するとフリーラジカルと呼ばれ,一般に高い反応性を持つ.酸素がその分子の場合,活性酸素と呼ぶ.高い反応性を持つ活性酸素は生体に重要な物質の合成反応に用いられるが,制御されない物質の酸化は物質の変性を起こし,さらなる傷害を起こす.腎疾患を例にとると尿毒症の発症に伴い生成が著しく増加するメチルグアニジンは活性酸素とクレアチニンの反応生成物である.また,ネフローゼを起こすピューロマイシンアミノヌクレオシドは細胞における活性酸素の産生を増加させ,その産生増加はアラキドン酸代謝やPAFと関連していることが示唆された.外因物質による生体内の活性酸素の増加は,発癌や老化との関連があり,また,細胞における活性酸素の産生調節は疾病の治療薬の開発にとって重要である.

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