日本内科学会雑誌
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無症候性脳梗塞の臨床的意義
小林 祥泰
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1995 年 84 巻 6 号 p. 960-964

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抄録

無症候性脳梗塞とは画像上,脳梗塞と考えられる病変があるにも関わらず,脳卒中発作の既往がなく,またそれに対応する神経症状を有さないものを言い,将来脳卒中発作をきたす可能性が高いものとして捉えられている.脳ドックにおける頻度は加齢と共に増加するが,全体では13.7%であった.危険因子としては高血圧が最も重要である.認知機能に与える影響は少ないが,高度な白質障害については将来脳血管性痴呆になる可能性があり注意が必要である.追跡調査では無症候性脳梗塞を有する群で有意に脳卒中発症率が高かったが,脳出血も20%にみられたことから,高血圧の管理が不十分な状態での抗血小板薬の予防投与には慎重である必要がある.

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