1997 年 86 巻 7 号 p. 1180-1183
甲状腺良性結節は濾胞腺腫と腺腫様甲状腺腫に大別され,一般的に前者は腫瘍が単発で境界明瞭であり,後老は結節が多発性で過形成と退行性変化をきたしたもので,結節内の出血,壊死,石灰化などがみられる.癌が疑われるもの,腫瘤が大きいもの,周囲臓器を圧迫しているもの,機能性結節などが切除の適応となる.当院における手術症例の検討では, 1.腺腫様甲状腺腫に癌が合併する頻度が高く術前診断率が低かった, 2.濾胞腺腫は濾胞癌との鑑別が困難であったが,腫瘍径が大きいほど,血清サイログロブリンが高いほど悪性の割合が高かった.