常染色体優性遺伝嚢胞腎(Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease: ADPKD)は,約1000~2000人に1人に発症する,遺伝性腎疾患の中で最も頻度が高い疾患であり,疾患遺伝子PKD1, PKD2がクローニングされている. PKD1遺伝子産物であるPolycystinlは,細胞接着,細胞間相互作用に関わると予想されるモチーフを持ち, Cキナーゼを介して,細胞外基質などの遺伝子の発現を調節していると考えられる.また, Polycystin1と, PKD2遺伝子産物Polycystin2が協調して機能している可能性がある. ADPKDが極めて頻度の高い遺伝性疾患であるのはなぜか,その原因は未だ明かではないがゲノム構造からの解析も進みつつある.