日本内科学会雑誌
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IgA腎症の発症・進展機序と治療
富野 康日己
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2000 年 89 巻 11 号 p. 2365-2370

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抄録

IgA腎症の発症には, 1)抗原抗体複合物の形成と糸球体メサンギウム領域への沈着, 2) IgA1分子自体の変性と沈着の可能性が考えられる. Fcレセプター(R)ファミリーに属するFcαRは, IgAのメサンギウム細胞への沈着とそれに引き続いて起こる細胞の活性化を説明するのに非常に合理的な分子である. IgAがメサンギウム細胞と結合・沈着し, Fcガンマ鎖と会合することで細胞内へ情報が伝達され,メサンギウム主体の炎症が惹起される可能性が考えられる.本症の進展には,遺伝因子,特に,レニンアンジオテンシン系遺伝子多型との関連性が議論されている.また,糸球体上皮細胞喪失と糸球体硬化,肥満細胞の浸潤と尿細管・間質の線維化との関連性が注目されている.治療の最近の話題は,抗生物質,扁桃腺摘出術,副腎皮質ステロイド・ステロイドパルス療法,抗血小板薬, ACE阻害薬, AT1受容体拮抗薬,魚油の投与である.

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