日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
89 巻, 11 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 嶋田 甚五郎
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2237-2239
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 腎移植を中心に
    齋藤 和英, 高橋 公太
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2240-2247
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年の優れた免疫抑制薬の開発は臓器移植の成績を飛躍的に改善したが,一方で感染症に対する新たなリスクファクターでもある.また,感染症が宿主の免疫応答を賦活し,拒絶反応を誘発する場合もある.臓器移植後の感染症は,患者の全身状態,免疫抑制療法によって規定される宿主免疫能と,病原体との相互作用という観点から病態を把握し,予防,治療を行うことが重要である.
  • 浦部 晶夫, 遠藤 光絵
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2248-2253
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    造血器悪性腫瘍患者はcompromised hostになりやすく,感染症を併発しやすい.造血器疾患患者において易感染性を招く主要な要因は好中球減少症である.造血器疾患に伴う感染症の対策としては,起炎菌の検索,感染予肪, empiric therapyの実施が重要である.注意すべき感染症は敗血症と肺炎である.
  • 林 泉
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2254-2259
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    担癌患者は典型的な易感染者である.感染症対策を十分行いつつ本来の治療に当たっているが,微生物の変化を微妙に受けている. MRSA, MRSE,多剤耐性緑膿菌,セラチアなどがトピックスであるが,結核を忘れてはいけない.癌と間違われる結核が危険性を孕んでいる.また,市中感染の原因菌に急な変化が起っているが, PRSPやBLNARは易感染者に劇症型肺炎など重大な感染症として注目されている.院内・外の環境と微生物との関係が大切である.
  • 長澤 浩平
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2260-2266
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病の多くはその病態の根底に免疫異常を有し,さらに治療にはステロイド薬や免疫抑制薬を使用するため,感染防御能が低下している.感染症は多くの膠原病の死亡原因の1,あるいは2位を占め,最も重要な合併症である.カンジダ症,帯状疱疹,結核などの日和見感染が多く,罹患年数の経過とともにそれが顕著になる.免疫担当細胞の中では, T細胞の機能低下が易感染性に最も関連しているようである.膠原病患者では可能な予防策を講じるとともに,迅速な診断と治療が必要である.
  • 舟田 久
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2267-2272
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    従来の敗血症の概念は感染性心内膜炎を含んでいたが,現在,敗血症は感染に起因した全身性の反応と把握され,臓器感染症である感染性心内膜炎とは区別される.両者の診断基準が整備され,病態に基づく治療や予防が進歩した.重症敗血症では,抗菌薬治療や外科処置に加えて,抗炎症と免疫賦活のいずれの補助療法を選ぶべきかの判断も予後を左右しかねない.また, TNF-α遺伝子多型と予後不良の根関は遺伝子治療の導入を期待させる.
  • 松下 和彦, 青木 治人, 嶋田 甚五郎
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2273-2278
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    人工関節術後感染の治療おいては,感染を早期に診断することが重要で,その為には患者教育も必要となる.保存療法で改善しない場合は,躊躇せず病巣掻爬を行い,術中,インプラントの固定性に弛みを認める場合は抜去が必要となる.抜去した場合は,再置換術を行うか否か,行うとすれば一期的か二期的かを判断する.術後感染への対応は抗菌薬療法のみでは限界があり,術前,術中,術後を通しての感染予防対策が重要である.
  • 稲松 孝思
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2279-2284
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    85歳以上を超高齢者とらえて,その宿主条件,患者自身の医療への希望,医療倫理的背景を検討し,感染症対策の目標を明確にした.すなわち, ADL/QOLの維持が最優先課題であり,延命のみを優先した侵襲的治療行為,意味のない治療行為は回避すべきである.また,予防的処置,早期診断早期治療の重要性について述べ,インフルエンザワクチン接種の意義,誤嚥性肺炎防止,褥瘡予防,抗菌化学療法の注意点に言及した.また,超高齢者の医療を通じて,医療の生態学的な意味について考察し,生態学の論理と整合性のある医療のあり方について展望した.
  • 松下 修三
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2285-2293
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    プロテアーゼ阻害薬を含む抗ウイルス薬の多剤併用療法(highly active antiretroviral therapy, HAART)が導入され,さらに治療の指標として血漿ウイルス量の定量系が確立し, HIV感染症の臨床は大きく変貌した.わが国でも1997年以降,つぎつぎと新規抗ウイルス薬が使用可能となり,以前であれば数カ月の余命であったエイズを発症した患者においても社会復帰できるほどとなった.しかし,一方で副作用や薬剤耐性ウイルスの出現など多剤併用療法導入後の問題点も明らかになってきている.
  • 戸塚 恭一
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2294-2297
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    医療技術の進歩に伴い,カテーテルなどの多くの人工医療器具が開発され,現在の医療においてはなくてはならないものとなっている.しかし人工異物に伴う感染症は難治性となることが多いので感染の予防が大切である.そして感染がおきにくい素材の開発などが今後の課題である.
  • 大野 章, 山口 惠三
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2298-2303
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗菌薬耐性菌の出現は,抗菌薬の使用状況が大きく反映する. 1980年代以降,第二,第三世代セフェム,モノバクタム,カルバペネム,フルオロキノロンなど,広域スペクトラムと強力な抗菌力を有する抗菌薬の相次ぐ開発と,それらの使用量が大きく増加した.その結果,従来にない新しいタイプの耐性菌,すなわち, MRSA, PRSP, VRE, ESBL大腸菌や肺炎桿菌などが出現した.これらの耐性菌は,多剤耐性を獲得している株が多く,そのため治療上深刻な問題を投げかけている.本文は,これら問題となっている多剤耐性菌感染症について概説する.
  • 中尾 俊之, 松本 博, 岡田 知也
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2304-2308
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢牲腎不全・透析患者では,感染防御に対する解剖学的・生理学的機構の障害や好中球,単球・マクロファージをはじめTリンパ球, Bリンパ球の異常を認め,免疫不全の状態にあり易感染性宿主となっている.一般細菌感染症では下気道や尿路および透析用血管内留置カテーテルの感染が多い.また肝炎ウイルス感染や結核症の罹患率は一般人に比べて著しく高いことが注目される.腹膜透析患者の腹膜炎では,明らかな感染源なしの自然発症細菌性腹膜炎の頻度が高い.
  • 藤島 清太郎, 相川 直樹
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2309-2314
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    救急診療に携わる医師には,各科感染症に対する幅広い知識が必要とされている.急激な窒息をおこし得る急性喉頭蓋炎,急激に進行する激症型A群連鎖球菌感染症(特に壊死性筋膜炎に続発),外傷歴欠除が稀でない破傷風等は特に注意すべき感染症である.一方, systemic inflammatory responsesyndrome (SIRS)という概念で再定義されたsepsis, multiple organ dysfunction syndrome (MODS)を呈する患者の診療機会も増えており,重要臓器全体へ配慮した集学的治療の遂行が求められている.
  • 加藤 高明, 岩井 重富
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2315-2320
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    広汎手術後の術後感染発症には術中に術野が腸内常在菌に汚染され,これが定着・増殖する場合,術後にドレーンなどから逆行性に院内感染菌が侵入する場合,腸内常在菌叢に院内感染菌が混入し,院内感染菌や腸内常在菌が術後縫合不全部などから流出する場合などがある.これらの感染を発症阻止または治療する目的に抗菌薬を選択するには,細菌の抗菌薬不活化および耐性化,抗菌薬の組織内濃度や安定性を考慮する必要がある.
  • 太田 昌宏, 佐畑 貴之, 森 建文, 竹内 和久, 菅原 明, 有馬 秀二, 菊谷 昌浩, 伊藤 貞嘉, 木村 時久, 太田 耕造
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2342-2344
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は30歳,男性.生来,多飲,多尿を自覚していたが,日常生活に特に支障なく生活していた. 20歳時に脱水ピトレシンテストの結果腎性尿崩症と診断されvasopressin-V2 receptorのmutationが確認された.治療としてhydrochrolothiazide (HCT)およびindometasin (IM)の投与は尿量を17~19L/日から9~10L/日に減少させた. HCTは近位尿細管でのNa再吸収を亢進させ,遠位尿細管以降へのdeliveryを減少させる事で,尿量を減少させる事が確認された.
  • 北村 雅一, 星野 洋, 片田 直幸, 西村 大作, 清水 富紀子, 佐々木 洋治, 佐野 博, 加藤 活大
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2345-2346
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.心窩部腫瘤にて当科入院.入院時, AFP 3.351ng/mlと高値であった.胃重複癌の膵浸潤,肝・リンパ節転移と診断し全身化学療法を施行するも効果なく死亡.病理解剖では,胃重複癌,膵癌,直腸癌を認め, AFP免疫染色は膵癌部でのみ陽性で, AFP産生膵癌と診断した.本邦で,免疫組織学的に膵癌部にAFPの局在を確認しえた報告は31例しかなく,大変稀な症例であると考えられた.
  • 井上 泉, 畠 信介, 山崎 幸茂, 岡村 城志, 坂井 志津, 上田 晃子, 佐藤 博明, 谷地 雅宏, 伊藤 浩二, 藤本 尚, 大畑 ...
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2347-2349
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    59歳の女性.腹部超音波検査にて,脾臓に多発する低エコー結節を認められたため精査のため入院した.造影CT検査にて,脾臓に多数の低濃度結節を, MRI T2強調画像にて,同臓器に多発する低信号の結節像を認めた.画像上,脾原発悪性腫瘍を否定できなかったため,摘脾術を施行し,病理組織学的に脾サルコイドーシスと診断された.
  • 尾本 篤志, 近藤 盛彦, 内田 亮, 足立 陽子, 大友 敏行, 西田 康一, 西尾 晃, 中村 充男
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2350-2352
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,女性.マムシ咬傷後に横紋筋融解,急性腎不全をきたし入院.腎不全は血液透析の施行で回復した.しかし,経過中,突然,心室細動を認め,電気的除細動にて洞調律に復したものの, Forrester II型の心不全の状態であった.心不全は利尿薬,血管拡張薬等で回復した.マムシ咬傷後に心室細動,心不全を生じたとの報告は稀であるが,重篤な合併症であり注意を要すると思われ報告する.
  • 山田 伸一郎, 新藤 高士, 澤田 喜博, 栗原 正, 成田 充啓, 浅越 康助, 久保 正治, 伏見 尚子
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2353-2355
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の男性. 46歳時からBehçet病で外来に通院し,免疫抑制薬や少量のステロイドでコントロールされていた. 1999年5月3日,急性左心不全で入院した.心エコーおよび心臓カテーテル検査で巨大な大動脈弁瘤とValsalva洞動脈瘤および高度の大動脈弁逆流を認め, Behçet病の心病変と考えられた.
  • 石井 均
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2356-2364
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ライフスタイルの歪みが関与する慢性疾患の増加は,日本人の健康状態に大きい影響を与えている.慢性疾患ならびに合併症の発症進展予防は重大な課題であり,そのためには患者の行動が健康維持のために望ましいものへと変化していく必要がある.患者の行動に影響を与える要因としては,外的(環境),内的(心理的),および結果(強化)要因がある.外的要因として,医師の影響力は大きい.患者の考えや感情を確かめ,情報を提供し,治療目標を相談して設定するという患者中心のアプローチが効果的である.心理的要因としては,感情やヘルスビリーフが重要な要因である.また,行動の結果生じる,検査所見やQOLへの影響も行動レベルを修飾する.行動変化に介入するためには,患者の準備状態に合わせた援助が有効で,その指針を与えるのが変化ステージモデルである.これらを適用して患者の行動変化を援助することが医師に望まれている.
  • 富野 康日己
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2365-2370
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    IgA腎症の発症には, 1)抗原抗体複合物の形成と糸球体メサンギウム領域への沈着, 2) IgA1分子自体の変性と沈着の可能性が考えられる. Fcレセプター(R)ファミリーに属するFcαRは, IgAのメサンギウム細胞への沈着とそれに引き続いて起こる細胞の活性化を説明するのに非常に合理的な分子である. IgAがメサンギウム細胞と結合・沈着し, Fcガンマ鎖と会合することで細胞内へ情報が伝達され,メサンギウム主体の炎症が惹起される可能性が考えられる.本症の進展には,遺伝因子,特に,レニンアンジオテンシン系遺伝子多型との関連性が議論されている.また,糸球体上皮細胞喪失と糸球体硬化,肥満細胞の浸潤と尿細管・間質の線維化との関連性が注目されている.治療の最近の話題は,抗生物質,扁桃腺摘出術,副腎皮質ステロイド・ステロイドパルス療法,抗血小板薬, ACE阻害薬, AT1受容体拮抗薬,魚油の投与である.
  • 沖 将行, 安藤 潔
    2000 年 89 巻 11 号 p. 2371-2378
    発行日: 2000/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    造血幹細胞を用いた遺伝子治療は1990年以降,レトロウイルスベクターを主に利用して施行されてきたが,遺伝子導入効率の低さと導入遺伝子の発現低下が障害となって明らかな治療効果を認めるに至っていない.この2つの問題に対し,ウイルスベクターの改良,造血幹細胞の体外増幅技術の進歩,遺伝子導入条件の検討によりこの2, 3年で前臨床レベルでの成果がみられてきた.殊に, HIVベクターはレトロウイルスベクターと異なり非分裂細胞への遺伝子導入が可能で,遺伝子発現も持続するので造血幹細胞の遺伝子治療において最も期待されるベクターである.しかしながら洗練された治療技術へと変貌するために安全性も含め,まだ解決すべき課題は多い.
feedback
Top