日本内科学会雑誌
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行動変化の患者心理と医師の対応
石井 均
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2000 年 89 巻 11 号 p. 2356-2364

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抄録

ライフスタイルの歪みが関与する慢性疾患の増加は,日本人の健康状態に大きい影響を与えている.慢性疾患ならびに合併症の発症進展予防は重大な課題であり,そのためには患者の行動が健康維持のために望ましいものへと変化していく必要がある.患者の行動に影響を与える要因としては,外的(環境),内的(心理的),および結果(強化)要因がある.外的要因として,医師の影響力は大きい.患者の考えや感情を確かめ,情報を提供し,治療目標を相談して設定するという患者中心のアプローチが効果的である.心理的要因としては,感情やヘルスビリーフが重要な要因である.また,行動の結果生じる,検査所見やQOLへの影響も行動レベルを修飾する.行動変化に介入するためには,患者の準備状態に合わせた援助が有効で,その指針を与えるのが変化ステージモデルである.これらを適用して患者の行動変化を援助することが医師に望まれている.

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