日本内科学会雑誌
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1.止血血栓,病的血栓形成機序と血小板
西川 政勝渡辺 泰行市岡 希典
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2000 年 89 巻 6 号 p. 1054-1061

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抄録

止血血栓と異なり,病的血栓である動脈血栓症は,粥腫プラークのびらんまたは破壊とそれに伴う血栓形成により動脈閉塞や狭窄をきたす疾患で,その初期病変は速い流れの中で生ずる血小板血栓である.内皮細胞が傷害されると内皮下組織に血小板がずり速度依存性に粘着・凝集し,種々の生理活性物質を放出し,血管内腔に向かう壁在血栓が形成される.これらの反応にはvon Willebrand因子が重要な役割を演じていると考えられる.血小板は,動脈血栓形成初期に中心的役割を演じているばかりでなく,動脈硬化の進展にも密接に関係している.各種の抗血小板剤が開発され動脈血栓症の再発予防ばかりでなく急性期の虚血性疾患の治療にも用いられている.深部静脈血栓症では,血流のうっ帯などがトリガーとなり血液凝固の活性化に伴うフィブリン血栓が主体であるが,血小板も関与すると考えられる.

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