2001 年 90 巻 2 号 p. 282-288
本邦の肺塞栓症に関する知見は,この20年間で飛躍的に増加した.しかしなお,診断の困難性から1次予防は勿論のこと2次予防の遅れが指摘できる.発症2時間以内に死亡する致死性急性肺塞栓症が全肺塞栓症の約8%にみられ,尚且つ1回発症型が多く,基礎疾患としては,片麻痺,手術後,心疾患などがある. 1次予防としては,頻回の体位変換,早期離床のほか,低用量ヘパリン療法,低分子ヘパリン療法,低用量ワーファリン療法ある.抗凝固薬の禁忌例には,主に2次予防として下大静脈フィルター遮断法が用いられる.