高齢者呼吸器感染症は高齢者が抱えている基礎疾患や合併症に加えて,今日の耐性菌増加によりますます難治なものへと変貌してきている.一方で高齢化社会に伴い外来治療に対する社会的要求が高まってきている.高齢者においては,その宿主条件としての易感染要因,老化に伴う薬物代謝の変化があり,その感染症診断において重症度を含めた患者病態の的確な把握と起炎菌推定が求められている.また基礎疾患に対する適正な治療も含めた包括的治療が高齢者感染症においては常に求められる.
高齢者呼吸器感染症に対する治療が難治化する時代にあってワクチンを含めた感染予防戦略に社会をあげて取り組むべきものと考える.