2001 年 90 巻 7 号 p. 1207-1213
高齢者は生理的に腎機能が低下していることに加えて循環障害,尿路閉塞,薬剤など腎障害惹起因子に遭遇する機会も多く,病的腎機能低下を来たしやすい.さらに腎機能低下を来たす糸球体・尿細管間質性疾患としては半月体形成性糸球体腎炎,急性尿細管間質性腎炎,急性尿細管壊死などの頻度が高く,血中ANCA測定が半月体形成性糸球体腎炎の診断に有用である.治療は原因の除去が基本であるが,免疫抑制療法は患者背景を考慮して選択すべきである.慢性腎不全も高齢者に多いが, ADL/QOLを考慮した治療が必要である.