2002 年 91 巻 7 号 p. 2192-2195
症例は39歳,男性. B型慢性肝炎の急性増悪のため近医入院.肝不全徴候を認めlamivudine 100mg内服を開始した.投与開始後速やかに肝逸脱酵素は改善し, HBV DNAは感度以下となった. lamivudine投与10日後より血便・下痢・発熱を認め,腹水も併発し全身状態悪化のため,当院に転院した.転院時の大腸内視鏡所見から活動性の潰瘍性大腸炎と診断(重症度分類:中等症).プレドニゾロン静注を開始し, 60mgまで増量したが改善はなく悪化し中毒性巨大結腸症のため緊急大腸全摘術を施行した.これまでにlamivudine投与中での潰瘍性大腸炎の合併例の報告はなく,示唆に富む症例と考えられた.