日本内科学会雑誌
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アレルギー性疾患に伴う神経障害
吉良 潤一
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2004 年 93 巻 5 号 p. 1017-1025

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抄録

アレルギー性疾患に伴う神経障害としては,全身性血管炎の一環として多発性単神経炎を呈するChurg-Strauss症候群がよく知られている.本症候群では,まれに脳出血や脳梗塞を合併する以外には中枢神経が侵されることはない.このように,従来,アレルギー性疾患と中枢神経障害の関連は考えられていなかった.ところが,我々はアトピー性皮膚炎患者で頸髄に好発する特異な病像を呈する脊髄炎の存在に気づいた.本症は四肢の異常感覚(ジンジン感)を主徴とし, MRIでも頸髄後索寄りに病巣がみられる.臨床的にもMRI上の病巣においても長く存続するのが特徴である.脊髄病理は,好酸球性炎症で軸索も髄鞘も傷害される.我々はアトピー素因を背景にして起こる脊髄炎との意で,アトピー性脊髄炎との病名を提唱している.本症の発見を契機として,頸髄前角運動ニューロンを侵す平山病と気道アレルギーの関連が明らかにされるなど,アトピー素因と脊髄障害の関連を示す成績が次第に蓄積されつつある.

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