日本内科学会雑誌
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1.骨粗鬆症の診断基準
稲葉 雅章西沢 良記
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キーワード: 骨粗鬆症, 診断基準, 骨量
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2005 年 94 巻 4 号 p. 656-662

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抄録

骨粗鬆症は,骨組成に変動がなく骨量が減少して骨の力学的強度が低下した状態である.骨量の低下とともに骨質の荒廃も伴い,海綿骨骨梁の細小化や離断でその連続性が失われるような微細構造や石灰化基質の劣化などにより骨の脆弱性が増し易骨折性を示す疾患である.骨強度は,量(mass),質(quality),および構造(geometry)の3つの要素に依存しているが,臨床的診断は, dual energy X-ray absorptiometry (DXA)による骨量の測定によりなされる.しかし,最近では骨質の評価として骨代謝回転の評価が有用であることがわかってきた.また,骨微細構造の診断は3D-CTなどによる新規の画像診断による評価が試みられている.一方で,骨とは関連しない因子が骨折リスクを規定していることも知られてきた.高齢化とともに本症の罹患率が高まり,本疾患に基づく患者のQOL (quality of life)の低下や医療費の増大による社会経済的コストの増大が予想されている.そのため,どの時点で骨粗鬆症を診断し,治療を開始するかは患者のQOL低下や医療経済的な観点からも論議されるべき重要な課題である.

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