農研機構研究報告
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原著論文
近代米国品種由来の多収性を有する東海から九州地域向けのダイズ新品種「そらたかく」の育成
佐山 貴司 高田 吉丈小松 邦彦山下 謙一郎猿田 正恭
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電子付録

2025 年 2025 巻 23 号 p. 41-

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抄録

「そらたかく」は,農研機構西日本農業研究センターにおいて,国産ダイズの生産力向上と安定供給に大きく寄与する豆腐加工適性の高い品種の育成を目標として,粗タンパク質含有率が高く豆腐の加工に向く国産品種「たつまろ」を種子親,多収の米国品種「Santee」を花粉親とする人工交配を行い,系統選抜を繰り返して2023年に育成された品種である.香川県善通寺市で実施した生産力検定試験の結果から「そらたかく」の成熟期は“晩”,種皮の地色は“黄白”,へその色は“黄”で,百粒重は21~24 g程度である.裂莢の難易は“難”, 慣行品種「フクユタカ」より倒伏抵抗性は優れる.現地実証試験では,コンバイン収穫による「そらたかく」の収量は「フクユタカ」よりも平均して54%以上多かった.粗タンパク質含有率は「フクユタカ」より0~2%程度低かったが,豆腐加工適性は「フクユタカ」並みに優れていた. 奨励品種決定調査等の結果から「そらたかく」の栽培適地は東海から九州地域である.本品種はダイズモザイクウイルスA,A2,B系統に抵抗性であるが,ダイズシストセンチュウに対して感受性であることから,同被害が確認されている圃場での作付けは避ける必要がある.

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著者は自身の論文の著作権を保持し,国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構に対し 農研機構研究報告からの論文の出版を許諾する.

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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