教育方法学研究
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マイヤー(Ernst Meyer)のグループ授業理論
吉田 茂孝
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2006 年 31 巻 p. 61-72

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抄録

本論文は,第二次世界大戦後の西ドイツ及び統一後のドイツにおけるマイヤー(Ernst Meyer, 1920-)のグループ授業(Gruppenunterricht)の理論を明らかにすることを目的とする。最初に,E. マイヤーのグループ授業理論の背景を,歴史的起源とE. マイヤーの問題意識から考察した。次に,E. マイヤーのグループ授業の研究を,彼の主要文献をもとに概観した。その中では,「グループ」と「集団(Kollektiv)」の概念の問題が検討され,「自由における学習(Lernen in Freiheit)」が構想されていた。またE. マイヤーのグループ授業では,学級を,子どもたちの相互作用のあるグループに変えることが目指されていた。そこで,本論文では,第一に,「自由における学習」において,どのように相互作用が行われているかを事例にもとついて検討した。第二に,「グループ」と「集団」の概念の問題を考察した。結論として,以下のことが明らかになった。教師中心の権威主義的な授業に対して,教師による「アレンジ」,「即興」,「媒介的援助」にもとづく,子どもたちの相互作用のある授業が主張されていた。また,「グループ」と「集団」の概念については,全面的に「集団」を否定するのではなく,「集団」の全体主義的な価値観や規範の絶対化という点が批判されていた。

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© 2006 日本教育方法学会
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