本論の目的は,デューイ・スクールにおける「読み」・「書き」のカリキュラム構成の実態を,1898〜99年の実践例に基づいて解明することである。デューイ・スクールでは,「読み」・「書き」は「関連的方法」で教えられるべきだとされ,「従属性・付随性」,「道具性」,「必要性」の3つの性質が,「読み」・「書き」の実践の特色とされた。また,デューイ・スクールの「読み」・「書き」のカリキュラムは,(1)計画性,(2)「歴史」部門との活動の密接な関連,(3)子どもの成長に伴う「読み」・「書き」の活動内容の充実化および高度化,を特徴としていた。そして,カリキュラム構成の形態は,子どもの成長段階と「諸教科の分化」に応じて変化していた。すなわち,子どもの成長の早期段階では「読む」・「書く」行為が中心であり,「読み」・「書き」のための時間が補足的に位置づけられていた。しかし,子どもの成長に伴い,「読み」・「書き」の独自の時間が「歴史」部門の活動時間でほぼ毎回確保された。そして,「歴史」以外の部門においては「読む」・「書く」行為が中心となったのだった。