教育方法学研究
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デューイ・スクール(Dewey Schoo1)における「読み方(Reading)」・「書き方(Writing)」のカリキュラムに関する一考察 : 1898~99年における子どもの成長に応じたカリキュラム構成の形態に着目して
森 久佳
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2006 年 31 巻 p. 85-96

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抄録

本論の目的は,デューイ・スクールにおける「読み」・「書き」のカリキュラム構成の実態を,1898〜99年の実践例に基づいて解明することである。デューイ・スクールでは,「読み」・「書き」は「関連的方法」で教えられるべきだとされ,「従属性・付随性」,「道具性」,「必要性」の3つの性質が,「読み」・「書き」の実践の特色とされた。また,デューイ・スクールの「読み」・「書き」のカリキュラムは,(1)計画性,(2)「歴史」部門との活動の密接な関連,(3)子どもの成長に伴う「読み」・「書き」の活動内容の充実化および高度化,を特徴としていた。そして,カリキュラム構成の形態は,子どもの成長段階と「諸教科の分化」に応じて変化していた。すなわち,子どもの成長の早期段階では「読む」・「書く」行為が中心であり,「読み」・「書き」のための時間が補足的に位置づけられていた。しかし,子どもの成長に伴い,「読み」・「書き」の独自の時間が「歴史」部門の活動時間でほぼ毎回確保された。そして,「歴史」以外の部門においては「読む」・「書く」行為が中心となったのだった。

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© 2006 日本教育方法学会
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