女性心身医学
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研究報告
13トリソミーまたは18トリソミーと確定診断された妊婦へのケア
田中 梨穂篁 宗一太田 尚子
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2025 年 29 巻 3 号 p. 347-352

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抄録

13トリソミーまたは18トリソミーと確定診断された妊婦への妊娠期におけるケアを,看護職者の視点から明らかにすることを目的とした質的記述的研究である.研究協力者は助産師3名であった.データ収集方法は,インタビューガイドを用いた半構造化インタビューで,データ収集期間は,2018年8月から10月であった.分析の結果,13トリソミーまたは18トリソミーと確定診断された妊婦へのケアは,34のサブカテゴリー,8のカテゴリーで構成された.

助産師は,13トリソミーまたは18トリソミーと確定診断された妊婦へのケアを行うにあたり,【妊婦の子どもへの愛情と不安の揺れを受け止める】ことで,妊婦の気持ちを汲み取ろうとしていた.そして,妊婦の気持ちや選択肢を支援するために,【最適な支援体制が組まれるような環境の整備をする】ことを行っていた.他職種も含めた妊婦に対する支援体制が組まれ,助産師として【予後が不良な子を出産する妊婦へ配慮する】一方で同時に【通常の妊婦と変わらないケアを提供する】ことを行っていた.妊婦と助産師が初めて会った段階から【継続的に段階を踏んでケアをしていく機会を保障する】ことが開始されており,段階を踏むほど関係性が構築され,より濃厚なものとなっていた.そしてそれが【画一化できない個別性に応じた支援を行う】ことを可能とし,個別性に応じた支援の中には前述の,【予後が不良な子を出産する妊婦へ配慮する】ことと【通常の妊婦と変わらないケアを提供する】が含まれていた.また,前述の【継続的に段階を踏んでケアをしていく機会を保障する】ことによって【妊婦の受容段階と理解に応じた情報提供をする】ことに繋がっていた.そしてケア全体を通して,【揺れ動く感情を持ち看護職者として自分自身を律しながらケアを提供する】ことを行っていた.

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© 2025 一般社団法人 日本女性心身医学会
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