教育方法学研究
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研究論文
ヘルマン・ギーゼッケの政治教授学理論の構造と特質
― コンフリクトに着目して ―
大城 朝周
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2024 年 49 巻 p. 37-47

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抄録

本研究では,ドイツの政治教授学(Politikdidaktik)を確立した1人であるヘルマン・ギーゼッケ(Hermann Giesecke)の政治教授学理論の構造とその特質を,コンフリクトに着目して明らかにすることを目的とした。第一に,1950年代における政治教育論の課題を踏まえた上で,ギーゼッケの「コンフリクト」概念の意味内容とその特質を明らかにした。第二に,ギーゼッケの教育内容論,すなわち実際の政治的対立を分析することを通じて得られる知として,陶冶知,方向知,行為知を構想し,科学によって合理化できない主観的な政治的判断の形成を彼が重視している点に論及した。第三に,行為知を生み出すための手法として,ギーゼッケが構想したカテゴリー分析を彼の授業モデルとそれに倣った授業実践とともに検討した。本研究を通じて,論争問題学習が隆盛する我が国の教育において,「論争問題を教材として扱うこと」そのものの意味を捉え直すとともに,論争問題学習における学習者の主観を位置付けるための示唆を得ることができた。ギーゼッケは論争問題を扱うことを提起しただけではなく,政治を客観的な認識枠組によって捉えきれない人間の価値判断の余地が残された状態として定義し,学習者の主観的な判断を重視することで,政治的教化に成り代わらない教育のあり方を示した。

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