教育方法学研究
Online ISSN : 2189-907X
Print ISSN : 0385-9746
ISSN-L : 0385-9746
研究論文
「どの子も発言したくなる授業」を支える評価の技法
― 「貝」を教材とした小学校国語科授業の会話分析的検討を通して ―
森 一平
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 49 巻 p. 25-35

詳細
抄録

 本論文の目的は,元東京都公立小学校教員である今泉博氏の授業映像を会話分析的に検討することを通して,「どの子も発言したくなる授業」を支える「評価」の技法を詳細に明らかにし,広く学校現場で共有可能な方法知として提示することである。

分析の結果明らかになった知見は以下である。第1に今泉氏の授業では,「あえて間違いを引き出すTRS」/「多様な知識や意見を出し合うTRS」という2つのタイプのTRSが設けられており,それぞれにおいて異なるタイプの評価が実施されていた。

第2に前者のTRSでは,「メタプロセス評価」が「受取+評価言+評価理由」からなるAER形式という構成で実施されており,それによって児童が回答の際に用いた「方法知」や「傾聴的態度」が学級全体に共有されていた。

第3に後者のTRSでは,「知の拡張性評価」が「状態変化トークン+『いいこと言ってくれた』+別のIRE連鎖の駆動」という応用型AER形式によって実施され,児童の回答をきっかけとして学級全体の知のネットワークを拡張する機能を果たしていた。

第4に後者のTRSではまた,「間違いの直接肯定」が上記応用型AER形式における「評価理由(R)」を「間違いの解説+その知的貢献の説明」に置き換えるかたちで実施され,「知の拡張性評価」と相伴いながら児童の間違いを分厚く肯定していた。

著者関連情報
© 日本教育方法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top