抄録
日本の洋上風力発電設備の建設は,離岸距離の短い地点を想定することが多いため,該当地点の風況は陸域の影響を受けうる.気象モデルはこれまで解像度が数km程度であり,沿岸の微細な土地利用や海岸線の効果は不明瞭だった.しかし,近年は高解像度に対応する物理スキームも実装され,上記の影響把握に有効と考えられる.そこで,銚子沖の実サイトを対象とした水平解像度200mの気象モデル計算により風況データを取得し精査した.観測結果が公開されている期間のうち,比較的風向偏差が少ない2期間を選定した.得られた風速はアメダスデータと整合的な分布となった.一方で,2期間の大気安定度特性は対比的であり風況特性にもその差異が現れた.