風工学シンポジウム講演梗概集
Online ISSN : 2435-5437
Print ISSN : 2435-4392
第26巻(2020)
選択された号の論文の31件中1~31を表示しています
  • 橋本 篤, 杉本 聡一郎, 服部 康男, 平口 博丸
    p. 1-6
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    本研究では、メソスケールの領域気象モデルであるWRFを用い、房総半島を対象とした水平解像度1kmでのT1915の再現計算を実施し、再現性を評価した
    その結果、水平解像度1kmのWRFを用いた再現結果は、横浜地方気象台接近時のT1915の台風の中心位置と気圧低下量を概ね再現することを確認した。そして、木更津アメダス観測点の観測値の時系列と比較することで、台風接近・通過に伴う風速・風向の時系列の変動傾向を良好に再現することを確認した。さらに、各種観測データを用いることで、WRFは台風が横浜地方気象台に最も接近した9月9日3時の地上付近を含む対流圏下層の風況場を良好に再現することを確認した。
  • 石田 泰之, 小野田 真帆, 渡辺 浩文, 上田 裕洋, 持田 灯
    p. 7-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    都市の温暖化対策として海風を効果的に利用するためには、海風の気流性状及びこれと市街地内の温熱環境との関係の解明が重要である。本研究では、上空の海風の気流性状を分析するため、2台のドップラーライダーにより宮城県仙台市の中心市街地上空の気流性状を計測した。また、これと地表付近の温湿度変化の関係を評価するため、ドップラーライダー計測と同期間に、仙台市内において温湿度の多点同時測定を実施した。この結果に基づいて上空を吹く海風の鉛直及び水平方向の速度変動の性状をスペクトル解析により評価するとともに、地表付近の温湿度へ及ぼす影響を分析した。
  • 弓指 大和, 大屋 裕二
    p. 13-18
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    九州大学応用力学研究所と株式会社リアムウィンドでは、九州を中心に国内外に数か所、風況ポール、小型風車を建て日々の風況・発電データの取得と解析を行っている。それらの実測データを用いて、日本の山間部、海岸沿いと、海外の海岸沿いの風について、風の乱れ、すなわち風速変動度、風向変動度を比較したので、その違いを報告する。
  • 笹沼 菜々子, 本田 明弘
    p. 19-24
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    再生可能エネルギーの主力電源化には発電コストの低減が大きな要素であり、風力発電をとりまく環境条件では平均風速の頻度分布が発電量に大きく影響を及ぼす。現在国内で注目を集めている洋上風力発電においても、水深の浅い沿岸部から実用化が進められるために、地形の影響を少なからず受けることが指摘されている。よって、本研究では沿岸部の灯台と周辺に存在する地上高が60mを超えるハブ高さでの風観測記録を比較し、MASCOTによる風況シミュレーション結果を参考に地形の影響に関して考察を行った。これらの結果を応用し、今後の洋上風力候補地の検討に資する。
  • 中尾 圭佑, 服部 康男, 平口 博丸, 田村 英寿
    p. 25-28
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    日本の洋上風力発電設備の建設は,離岸距離の短い地点を想定することが多いため,該当地点の風況は陸域の影響を受けうる.気象モデルはこれまで解像度が数km程度であり,沿岸の微細な土地利用や海岸線の効果は不明瞭だった.しかし,近年は高解像度に対応する物理スキームも実装され,上記の影響把握に有効と考えられる.そこで,銚子沖の実サイトを対象とした水平解像度200mの気象モデル計算により風況データを取得し精査した.観測結果が公開されている期間のうち,比較的風向偏差が少ない2期間を選定した.得られた風速はアメダスデータと整合的な分布となった.一方で,2期間の大気安定度特性は対比的であり風況特性にもその差異が現れた.
  • 宮城 弘守, 牧野 仁胤, 佐々 浩司
    p. 29-34
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    2019年9月22日の朝、台風17号が接近中の宮崎県延岡市で竜巻が発生し、建物被害は約500戸、人的被害は18人(通報分)に達した。本研究は、記録された10個の映像からこの竜巻の特性を明らかにするものである。竜巻の漏斗雲は大きな鍋底状で同定が困難であったが、移動速度は約96km/h、雲の垂れ下がり量から最大風速を43~52m/sと推定した。さらに、映像に写った雲の回転から竜巻を捉える試みについて、結果を報告する。
  • 中野 圭介, 吉田 昭仁, 三島 唯
    p. 35-37
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    遊園地やイベント会場、室内遊戯施設等で見かけることが多くなったエア遊具の屋外使用時での強風による事故が近年発生している。エア遊具の重量は軽く、風に飛ばされやすいため、設置する際は杭やウエイトで固定する必要がある。現在、日本においては日本エア遊具安全普及協会(JIPSA)が安全運営の10ヶ条を定めているが被害の低減には至っていない。
    本研究ではエア遊具に補助的に設置する付加荷重(砂袋、ポリタンクなどのウエイトとペグなどの打込み杭)がどの程度必要かを計算するための算出式を提案することを目的とした。また、算出式に必要となる打込み杭の耐力を調べるために引抜試験も実施した。
  • 森上 伸也, 熊 静, デディア リチャード
    p. 38-44
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    シドニー大学の人工気候室における気流特性を明らかにするために夏期の自然通風環境下における実測を行った。実測では600mmと1100mmの高さにおける平面気流分布、南北および東西方向の断面気流分布ならびに室内中央付近における風速の時刻歴波形を測定した。本研究では屋外気流が主に東よりの風の結果について報告した。窓面に近い場所における室内気流は室内の壁面および室中央に比べて高い結果を示した。また、窓面に近い場所の気流は測定点が高い位置で速い風速を示し、室中央付近では測定点が低い位置で速い風速を示した。
  • 胡 超億, 菊本 英紀, 賈 鴻源
    p. 45-50
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    著者らは、POD(Proper Orthogonal Decomposition)とLSE(Linear Stochastic Estimation)を組み合わせ、限られた観測情報によって市街地内の気流分布を推定する手法を開発している。特に本論文では、立方体建物群モデルを対象とするLES(Large-eddy simulation)から得た瞬時気流分布データの再現および予測を行い同手法の有効性を検証した。LESデータを真値としてPOD-LSEによる再現・予測値の精度検証を行ったほか、同精度の解析領域の大きさや観測点の数に対する感度を調べた結果を報告する。
  • 張 秉超, 大岡 龍三, 菊本 英紀
    p. 51-56
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    本研究では、単体角柱建物モデル周りの乱流のモード解析の結果に基づいて、カルマン渦の動的システム同定を行った。まず、乱流速度データに対して固有直交分解を実行した。その結果、モード2は流入変動によって制御され、モード1、3、4は主な周期的なカルマン渦を表した。次に、モード1、3、4の動的システムを多項式回帰モデルにフィットし、状態の軌跡の平均的な傾向を解明した。回帰モデルの2つのリミットサイクルは、システムに摂動がない場合の最終状態として渦の2つの回転方向を表した。さらに、回帰モデルから生成された軌跡から2つの特徴的な周期が識別され、渦の速い運動と遅い運動と2つの運動パターンがあることを示した。
  • 金 惠英, 勝地 弘, 山田 均, 藏谷 恒輝
    p. 57-61
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    辺長比B/Dが0.6より小さい角柱まわりでは,奥行き方向に3次元的な流れが発生するため,3次元かつ非定常解析が必要とされている.そのため,2次元断面で解析を行うと既存の風洞実験の結果に大きな差が生じることが既往研究からわかっている.本研究では,辺長比B/Dが0.4に対してLES解析を行い,奥行き方向長さと奥行き方向のメッシュサイズの2点について検証を行った.これらは本研究の数値流体解析によって求められた空力係数と既存の風洞実験の結果を比較して検討した.その結果,辺長比が0.6より小さい矩形断面において3次元数値流体解析を行う際には,奥行きメッシュ長さをD/10より小さく,奥行き長さを4Dより長くする必要があることが分かった.
  • 後藤 崇文, 八木 知己, 小野 拓海, 奥西 智也, 松宮 央登, 野口 恭平
    p. 62-66
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    ブラフボディの水平・鉛直・ねじれ3自由度空力振動現象は,高無次元風速域においては大振幅を許容した状況において,相対迎角と相対迎角速度で決定される空気力によって説明できる可能性がある.本研究では,ねじれフラッターが発現する断面辺長比5矩形断面を対象として,本空気力のねじれ1自由度の大振幅応答への適用を試みた.まず,一定速度で模型を回転した状態での非定常空気力を測定し,種々の迎角と迎角速度の組み合わせにおける空気力を算出し,ねじれ1自由度振動時の非定常空気力を再現できることを確認した.さらに,本空気力を用いた時間領域応答解析から得られた応答振幅は,自由振動応答実験結果とよい一致がみられた.
  • 中藤 誠二
    p. 67-72
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    構造物に作用する風圧力,および構造物周りの流れに変動成分がある場合に,その周波数特性について把握することは耐風設計において重要である.本研究では矩形断面を対象に,クロススペクトル,相関係数,コヒーレンスといった統計量に加えて,本研究で提案する支配的な周波数成分に着目した指標を用いて,風速や迎角をパラメーターとして,流れ方向も含めた空間相関特性について明らかにした.さらに,後流域に模型軸と直交する方向にスプリッタープレートを設置した場合に,空間相関に与える影響について検討し,迎角が周期的再付着する迎角より大きい場合に相関がより低減する等の結果が得られた.
  • 勝地 弘, 山田 均, 中村 直暉
    p. 73-77
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    橋梁の耐風設計において、風洞実験によって空力振動の確認を行う際に風の迎角設定の問題がある。迎角は、地形の影響による定常的な傾斜角、風速変動による変動傾斜角、橋桁のねじれ変形による相対角度によって、生じるとされている。このうち、風速変動による変動傾斜角については、過去に理論的考察がなされており、開けた地形に建設される1,500m級の吊橋では±3°程度の迎角で良いとされている。本研究は、橋梁上での風観測データ、風洞実験結果に基づき、風の変動傾斜角設定に関する理論的考察を検証するとともに、より一般的な変動傾斜角設定の考え方を示す。
  • ソリアーノ レイゼル, 佐藤 大樹, オサベル デイブ
    p. 78-83
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    Modern structures are more susceptible to larger dynamic excitation brought about by stronger wind forces. For this reason, accurate estimation of the actual wind loads acting on the structure has become greatly necessary. Also, important dynamic parameters of the building, particularly natural period and damping ratio are considered to be highly uncertain and may contribute additional errors in the estimation of wind forces. Hence, the effect of uncertainty in the evaluation of these dynamic parameters to the estimated wind forces must also be given more careful consideration. This paper investigates the accuracy of modal analysis in estimating the wind forces acting upon a 10 degree-of-freedom model and determines the sensitivity of these estimated wind forces when errors in the natural period and damping ratio are introduced.
  • 二村 夏樹, 佐藤 大樹, 掛水 健司
    p. 84-89
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    近年,超高層建物にも免震構造が採用されている.風外力は,建物の高層化により地震外力に対して相対的に大きくなる.そのため,風外力は免震層の変形量を増大させる.そのため,応答が塑性範囲に及ぶことが懸念される.しかし,現行の日本の耐風設計は,原則構造物の弾性範囲に対する設計となっている.弾塑性応答を評価するための時刻歴応答解析は実用的ではないことから,弾塑性風応答の確率統計的な応答予測手法の開発が必要となる.
    本報では,荷重指針を準用して,鋼材ダンパーを有する超高層免震建物の簡易風応答予測手法の提案を行う.また,その精度を時刻歴解析の結果と比較することで検証する.
  • 張 庭維, 佐藤 大樹
    p. 90-95
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    In recent years, not only the seismic but also wind-resistant design of the high-rise building is considered, for safety along with the comfortability to the residents. The passive control system is widely used in the high-rise building to dissipate energy from vibration. Among all kinds of passive control systems, the viscoelastic (VE) damper, which is accompanied by the frequency-sensitivity, needs to consider the efficiency of the energy dissipation subjected to the external force (Kasai et al.,2002), including the seismic of massive amplitude with high-frequency and wind excitation of the minor amplitude with low-frequency. In the paper, the fractional derivative (FD) material (Kasai et al.,1993) is adopted as the exact solution of the VE material, which needs to consider the temperature factor along with the frequency-sensitivity factor, is much more complicated than that of a simplified VE damper system when doing the simulation in dynamic analysis. On the other hand, the simplified VE damper system, such as the Kelvin system and the Maxwell system, is commonly used in seismic control with high reliability, but no evidence approved whose in the wind control. Comparing with features of the earthquake, the strong wind excitation which directly applies to the upper structure of the building, has a wide-band frequency content. It leads to a significant difference in the structural response between the simplified VE damper systems and the FD system. To improve the reliability of the simplified VE damper system subjected to strong wind excitation, this research evaluated the wind-induced response along with the energy dissipation of the simplified VE damper systems considering the influence of frequency-sensitivity.
  • 樹下 亮佑, 佐藤 大樹, 太木本 仁志, 戸張 涼太, 安永 隼平, 植木 卓也
    p. 96-101
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
    会議録・要旨集 フリー
     超高層建物において,風揺れの対策を立てることは必要不可欠である.その対策の一つとして,制振部材(ダンパー)を建物に設置することが挙げられる。中でも,粘弾性ダンパーは微小な変形にも効果を発揮するため,風揺れの低減に有効である.しかし,一般的に粘弾性ダンパーは,多数回の繰返し加振によりその特性が変化することが懸念される。
     本研究の目的は,間柱型粘弾性ダンパーを対象とし,長時間の繰り返し加振による性能低下を考慮した制振建物の設計手法を構築することである。そこで,ダンパーの動的特性を初期値から低下させた簡易手法により,間柱型粘弾性ダンパーの動的特性の変化を考慮した制振建物の応答評価手法を提案する。
  • DAVE OSABEL, 佐藤 大樹, 笠井 和彦
    p. 102-107
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    Viscoelastic (VE) dampers are widely installed in tall buildings to mitigate structural vibrations induced by earthquake and strong wind. They dissipate the kinetic energy through shear deformation of the steel-sandwiched VE material, and in the process, heat is generated within the damper. Since the VE dampers properties (i.e., damping and stiffness) are temperature and frequency dependent, significant damper temperature increase from long-duration loading (e.g., wind loading) can greatly affect their performance. Customarily, their properties are easily evaluated from the hysteretic relationship of force and deformation obtained from harmonic loading. However, wind-induced vibrations of tall buildings are random by nature. Hence, the authors propose an evaluation method by considering equivalent sinusoidal waves of the long-duration random deformation based on the random vibration or spectral approach which is fundamentally used in wind engineering. Taking into account the frequency dependency of VE dampers, low-frequency and high-frequency components of the random deformation are separated, thus, two equivalent sinusoidal waves are considered in the dynamic analysis considering heat generation and transfer analysis. Combined results from these equivalent sinusoidal waves agree well those from the original random deformation.
  • 奥田 翔平, 佐藤 大樹, オザベル デイブ
    p. 108-113
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    粘弾性ダンパーは地震力だけでなく風力まで効果的に振動エネルギーを吸収することから、高層建築に対する制振に有効だと考えられ研究が進められている。粘弾性ダンパーの動的特性を評価する場合、粘弾性体の複雑な材料特性により高度な解析が必要である。簡便化のために高度な解析無しに粘弾性ダンパーの動的特性を予測する手法が提案され、正弦波での検証によりその有用性が確認されている。しかし実際の風応答はランダムでありその精度については確認されていない。本報では、長時間ランダム波加振時における粘弾性ダンパーの動的特性変化の簡易的な予測法を提案する。
  • 陳 引力, 佐藤 大樹, シャ 錦華, 宮本 皓
    p. 114-119
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    免震構造を採用する建築物の件数が兵庫県南部地震以降に急激に増えており,近年では,超高層建築物への適用も視野にいれ,アクティブ制御との併用により,更なる制御性能を引き出す研究も報告されている。しかし,アクティブ制御を併用した超高層免震建築物の応答を見積もる手法がないことから,制御系の設計には多くの数値解析が必要とされる。本報は,アクティブ制御が取り付けられた超高層免震建築物の平均変位と平均制御力を理論的に導き,また,ガストファクター法を用いて最大変位及び最大制御力の予測方法を提案する。これらを併用することで,数値解析を行わずに,最大応答や必要最大制御力を予測する手法を提案する。
  • 平塚 紘基, 佐藤 大樹, 田中 英之
    p. 120-125
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    現状の耐風設計では主に荷重指針を用いて主要な構造体を弾性状態に留めるような設計が行われている。しかし,風外力は建物の高層化に伴い増大する傾向があり,超高層建物に履歴型ダンパーを採用した場合,風外力に対してもダンパーが塑性化する可能性がある。そのため,荷重指針を応用して履歴型ダンパーの塑性化を把握することができれば,風に対する超高層制振建物の弾塑性挙動を実用的に評価しやすくなる。そこで本報では,荷重指針を準用した履歴型ダンパーの塑性化判定手法を確立することを目的とし,縮約質点数の変化が塑性化判定手法に与える影響について検討を行う。
  • 平島 裕大, 佐藤 大樹, 普後 良之, 田村 哲郎, 呉 嘉瑞, 柳屋 早延
    p. 126-131
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    近年,超高層建物に免震構造が多く採用されているが,そうした建物の風応答に関する研究例は少ない.そこで筆者らは2棟連結型の超高層免震建物(J2-3棟)の風応答記録を基に実挙動の分析を行っている.対象建物は2期に分かれて建設され、先に竣工した扁平な平面を有するJ2棟と,後に竣工したJ3棟から成り,2つの建物が連結されたことで建物形状は複雑化した.J2棟単体時の風応答記録は既に報告されたが,連結後の応答に関する研究はこれまで行われていない.本研究は建物の連結や形状変化が風応答挙動に及ぼす影響について解明することを目的とし,本報では初期段階として,連結後の台風時における応答を詳細に分析した結果を報告する.
  • 銭 暁鑫, 佐藤 大樹
    p. 132-137
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    近年,免震構造が超高層建物への適用が拡大している。しかし,建物の高層化に伴い,風外力が大きくなり,塑性化した免震ダンパーを持つ免震層に残留変形が生じている。免震層残留変形の評価に対して,現行の耐風設計における風速・風向一定の10分間風力を用いた評価では不十分である。風速・風向変化を有する台風の場合,免震層変形と逆方向の風力が存在するため,これまでの10分間風力を用いると,免震層残留変形に過大評価となる可能性がある。そのため本報では,台風時の免震層残留変形に着目し,多質点系モデルを用いた数値解析により,設計実務に有益な情報を提供することを目的とする。
  • 酒井 佑樹, 菊池 浩利, 小野 梓
    p. 138-142
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    建築物の外壁鉛直フィンは,常に外気に曝されるため耐風設計が要求される。近年の建築物は高層化,長寿命化の傾向があり,高層建築になるほど強風に曝され,また,長寿命になるほど変動風力の作用時間が長くなる。そのため,建築物の供用期間中の繰返し風荷重に対して耐風疲労安全性の検討が必要である。そこで本研究では,外壁鉛直フィンを有する高層建築物を対象として,風洞実験により外壁鉛直フィンに作用する風力係数の時刻歴と等価な風力係数の範囲を等価風力係数範囲として疲労損傷を評価する。その結果,それらの大小の現れ方は風力係数の変動値の大小の現れ方と傾向は近いが,局所的にこの傾向が対応していないことが確認された。
  • イエン イシェン, 八木 知己, 野口 恭平, 伊藤 靖晃, 嶋田 涼
    p. 143-146
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    橋梁の耐風設計では,高欄の詳細な構造が空力振動に与える影響とそのメカニズムは十分に検討されておらず,CFDにおいても計算負荷低減の観点から高欄のモデル化手法について検討が必要である.本研究では,一箱桁橋梁断面の鉛直たわみ渦励振を対象にばね支持自由振動実験を行った.最上段の横部材と地覆との間の中間横部材について,部材数が多くなるほど,または部材が扁平になるほど,渦励振振幅は小さくなることが判明した.
  • 松宮 央登, 垂石 早紀, 八木 知己
    p. 147-152
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,着氷雪4導体電線に作用する非定常空気力特性を明らかにするために,任意の波形での動作が可能なサーボモータを用いて動的空気力測定実験を実施した.着氷雪4導体電線を対象にした定速回転実験により,迎角・無次元角速度の2変数関数で定義した空気力係数を直接測定し,正弦波加振実験で得られた非定常空気力係数と比較することで,2変数関数で定義した空気力係数の定式化の妥当性を確認した.また,時々刻々の相対迎角及び相対迎角速度を変数として時刻歴応答解析を実施することで,大振幅の3自由度風応答測定実験結果を精度よく再現できることを示した.
  • 坪倉 佑太, 野口 恭平, 八木 知己
    p. 153-155
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    鋼材の腐食因子の一つである飛来塩分量の測定法として一般的なドライガーゼ法は,木枠の内部にガーゼをはめ込んだ装置によって塩分を捕集する.しかし,捕集装置周りの粒子の飛散挙動やガーゼ部への粒子の付着機構は詳細に検討されておらず,本手法による捕集塩分量と実際の大気中の塩分環境との対応は明らかになっていない.本研究では,個々のガーゼ繊維による粒子の捕集効率を,ガーゼ繊維を模擬した円柱周りの流れ場解析に基づいて検討した.解析の結果,円柱による粒子の捕集効率は,流れのレイノルズ数や粒子径とともに,円柱の配置パターンおよび円柱間距離に大きく依存することが明らかとなった.
  • 小林 炎, 大場 優作, 石田 泰之, 後藤 伴延, 持田 灯
    p. 156-161
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    屋外歩行者の温熱快適性や熱中症リスクは,歩行者が歩行経路に沿って経験する熱ストレスの蓄積と,それに伴う人体生理量の変化に基づいて評価することが適当であると考えられる。また,歩行の向きによって歩行者が曝露される風環境が異なるため,これに伴い歩行者の人体生理量,さらに温熱快適性や熱中症リスクが変化すると考えられる。本研究では、歩行者が曝露される物理環境と歩行者の人体生理量の同時計測,及び非等温CFD解析により,歩行者が曝される風環境が人体生理量及び歩行者の温熱快適性に及ぼす影響を定量評価した。さらに,街路空間に導入した種々の暑さ対策技術の功罪を歩行者が経験する熱ストレスの蓄積に基づき定量的に評価した。
  • 中村 良平
    p. 162-166
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    ビル風に対する歩行者の安全性、快適性を確保するため、大規模建築物の建設時には周辺風環境の事前予測および対策計画が求められる。従来の予測技術である風洞実験および数値流体計算では、時間とコストの観点から設計進捗に伴い変化する風環境を逐次検討することが困難であった。本研究では、機械学習の一種である3次元畳み込みニューラルネットワーク(3D-CNN)を活用した市街地風環境予測技術を開発し、建物周辺の風速分布が簡単な入力によって短時間で得られることを確認した。本稿では、3D-CNNによる建物周辺の風速分布の予測方法,学習方法および検証結果について述べる。
  • 古本 淳一, 東 邦昭, 清水 克矢
    p. 167-169
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/25
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    著者らは、ドローンなどのUAV(Unmanned Aerial Vehicle)の安全・安定運行に必須となる3次元風況の詳細情報を得るため、新機軸のコヒーレント・ドップラー・ライダー(Coherent Doppler Lidar: CDL)を開発した。
    特に都市域において3次元風況を提供するためには、CDLをビルの屋上などに多点展開して観測ネットワークを構築する必要がある。このためには小型でかつ低価格であることが求められる。著者らは、観測可能距離15 kmを維持しながら、体積を1m^3以下かつ価格を1/10に低減することに成功した。講演では試験観測実験の概要と、風速推定精度検証の結果も議論する。
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