抄録
本研究では,都市キャノピー内の歩行者高さ空間における非定常気流場の性状把握を目的として,粒子画像流速測定法(particle image velocimetry; PIV)を用いた風洞実験を行った.本稿では,平均気流と瞬時気流の分布性状について重点的に報告しており,両者の乖離を示すと共に歩行者高さの風環境評価において瞬時気流場を考慮することの重要性を指摘した.筆者らは,閉鎖的な粗度条件下で発生する流体現象への適応が困難であるといったPIV計測のボトルネックを克服するため,トラバース装置を導入した新たなPIV計測システムの構築に挑戦しており,本研究の取得データは都市キャノピー内気流場における乱流特性を取り扱う数値シミュレーションの精度検証にも有用である.