抄録
海風が生じていた夏季の一日を対象として、顕熱収支構造の移流成分について、水平方向成分、鉛直方向成分に分解して分析を行った。水平移流の効果の大きい海風日であっても、顕熱の移流収支において水平成分のみならず、鉛直成分の影響も大きいことが確認された。また、沿岸部と中心部においては、海風進入時に空気が上空へ抜けることで正味の顕熱収支が負となる収支構造と、海風が安定的に吹いている時刻には、水平方向に顕熱が流出することで正味の顕熱収支が負になる収支構造の、2通りの特徴的な海風の移流による正味の顕熱流出構造が確認された。