抄録
本論文では、気象局地解析データの精度を検証し、2018年から2020年まで東京における大気の安定性と都市基盤が風の鉛直プロファイルのべき乗指数αに与える影響を検討した。まず、本研究は気象庁の局所解析データと仮温位法を用いて首都圏の大気の安定度を分類し、各安定度に対応するαを推定した。そして、検証点における推定したαとドップラーライダーによる観測データとの比較も行い、推定の精度を確認した。また、局地解析データによるαの空間分布を示し、大気の安定度と都市基盤がαに与える影響を調べた。その結果、年間での大気の不安定さは、東京都心部において千葉よりかなり多くなっていた。大気の安定度が不安定、中立、安定と変化することにつれてαは徐々に大きくなり、風上吹走距離の地表面粗度がαに明らかに影響を与えることが分かった。また、2018年から2020年にかけて、一部の地域のαが明らかに変動している。