名古屋文理大学紀要
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スナネズミが経口的に摂取した植物由来リコピンは脳虚血・再灌流後に海馬組織で発生する神経細胞変性に影響を与える
芳本 信子藤田 公和松本 岳大橋 美佳今田 英己稲熊 隆博
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2012 年 12 巻 p. 25-30

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抄録

抗酸化能を有するリコピンが,脳虚血後の神経細胞死や再灌流後に発生する活性酸素によって誘導される遅発性神経細胞変性を抑制することを,私たちはすでに報告してきた.本研究では,前報告に続いてリコピンが生体内の抗酸化能に与える影響について SOD 活性値を測定することによって検討した.その結果,虚血負荷後に減少した SOD 活性値は,リコピン摂取群では通常飼料摂取群と比較して3時間,1,3日目で有意に高値を示した.虚血・再灌流後の血清中リコピン濃度は虚血負荷前と比較して低値を示した.肝臓中リコピン濃度に変化はみられなかった.従って,生体内に取り込まれたリコピンは虚血・再灌流時に発生する活性酸素の障害に対して抑制的に働き,脳への障害を軽減するものと推察される.

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© 2012 名古屋文理大学
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