この20年あまり,文部科学省は多くの大学に生涯学習体制の整備を進めるよう促してきた.しかしながら,分子生物学の教育を生涯学習教育の一環としてとらえ,その授業の構成と内容を十分検討した例はほとんどなかった.本報文では分子生物学の実験・実習の授業を通信教育機関である放送大学において3年間実践し,シニア世代を含む受講生に対しアンケートを行い,それを基に授業を工夫し,それをフィードバックした授業を提示する.さらに国の科学技術の政策決定に積極的に参画するべく,分子生物学に関する素養を身に着けることが求められている現代のシニア世代に分子生物学を教えることの重要性について考察する.