名古屋文理大学紀要
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睡眠とアルツハイマー病 ― アミロイド β 蓄積の観点から ―
岡田 瑞恵岡田 悦政
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2023 年 23 巻 p. 81-88

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抄録

令和3年の国民健康・栄養調査において ,「昼間に眠気を感じる人」の割合が20~50歳代の男性は平均35.4%, 女性は平均42.9% を示している . 慢性的な睡眠不足は精神機能の低下ばかりでなく , 生活習慣病のリスクを上げることが報告されている . また , 睡眠とアルツハイマー病(AD)の関連を示す報告も蓄積されている . 利便性や安全性の向上に伴って夜間勤務やシフトワーク等の増加により , 現代人の抱える睡眠事情は , 将来的なAD 発症のより高い懸念因子となりうる可能性がある . 本稿では , 睡眠不足と AD の関係に焦点を当てた . 特に ,AD の病因の一つとされる Aβ の視点から , Aβ 排出経路であるグリンパティック系排出路について , 老化や睡眠不足による機能低下を論じた . また , 互いに密接に関係する概日リズムのずれと Aβ 蓄積の関係 , さらに , 食成分による概日リズムの修正という視点から概説した .

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© 2023 名古屋文理大学
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