名古屋文理短期大学紀要
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精神作業の疲労回復に及ぼす運動の効果
加藤 恵子
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1990 年 15 巻 p. 81-88

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抄録

精神作業の疲労回復に及ぼす運動の効果については18才女子12名を対象に実験を行った.休息の前後に精神作業として内田クレペリン精神作業検査を実施した.休息に,軽運動をとり入れた積極的休息群と消極的休息の統制群の2グループに分け,その検査成績を比較した.又,行動の区切り毎に産業労働研究会自覚症状調査用紙による疲労度の調査を合わせて実施した.その結果,次のことが明らかになった.①精神作業の正答数について,積極的休息群は休息後,明らかに成績は良くなっており逆に統制群は成績が悪くなっていた.正答数の変化量を比較したところ,0.1%の危険率で有意差が認められた.従って軽スポーツ実施による積極的休息は精神作業の疲労回復に有効であることがわかった.②誤答数については積極的休息群は休息後減少しており,統制群は逆に増加していた.この変化量について検定したところ,1%の危険率ではあるが有意差がみられた.ここでも積極的休息の効果が認められた.③疲労度の自覚症状検査結果から,全体的に統制群の疲労訴え率は高かった.特に統制群の消極的休息後の訴え率は高く,積極的休息群の訴え率との間に2%の危険率で有意差が認められた.又,積極的休息群の軽運動実施後の自覚症状の訴え率は非常に低く,自覚的に疲労状態はないという結果であった.

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© 1990 名古屋文理大学
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