変動相場制採用後およそ20数年経過したが,理論上の長所が発揮されず,為替レートが乱高下し安定した国際通貨制度とは言えない.よって,変動相場に変わる国際通貨制度が要求されることから,本論文においては固定相場を前提として考察をすすめた.特に,マッキノン案を修正することで,新しい国際通貨体制に成り得る基軸通貨体制の再構築を中心に考察した.修正は,国際流動性供給面とキー・カレンシーの信認についてである.前者に関しては,最適国際流動性アプローチを考察し,結論としては基軸通貨国の基礎収支均衡を維持することで解決可能であることを論じた.後者に関して,比例準備制をアメリカ,日本,ドイツが採用し,各国の経済情勢に応じて各々のターゲット準備率を設け,それを達成することで,過去の基軸通貨国の裁量的政策にインフレから導かれた基軸通貨の信認低下を回避できることを明確にした.