名古屋文理短期大学紀要
Online ISSN : 2433-6548
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生活時間調査にみる労働時間の実態
鈴木 真由子
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1995 年 20 巻 p. 119-123

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抄録

日本人の労働時間が長いことは国際的な問題になっている.政府はこれに対し, 週休2日制の達成と総実労働時間1,800時間達成を推進しているが, 依然として改善されていない.本研究は, 生活時間調査結果に基づく労働時間を軸に分析を進め, 労働者側からみた労働時間の実態を明らかにすることを目的とする.NHK生活時間調査を中心に, 労働条件に関する要素(事業所外労働時間・1日労働時間・週休日数・休日総数)を因子成分とし, 経済企画庁が試算した理想値と比較してベクトルで表すと, 企業規模を問わず, 理想値と離れていく方向にあることがわかった.この原因として考えられることは, ①企業規模が大きくなるほど, 週休2日制の定着は進んでいるが, 平日1日の労働時間が約1.5時間増加していたこと, ②企業規模を問わず, 事業所外労働時間が10年前と比較して, 増加していたことの2点に大別できた.以上の事実から, 経済企画庁試算の理想を実現させるためには, 企業規模を問わず事業所外労働時間を減少させることで, 年間総実労働時間を減少させる必要があるといえよう.さらに, 中小企業は週休日数・休日日数を増加させ, 大企業は1日当たりの労働時間を減少させることが労働時間短縮への必要条件と考えられる.

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© 1995 名古屋文理大学
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