名古屋文理短期大学紀要
Online ISSN : 2433-6548
Print ISSN : 0914-6474
高齢者の日常生活における社会的活動と個人的活動
加藤 恵子池上 久子鶴原 香代子青山 昌二
著者情報
研究報告書・技術報告書 フリー

2001 年 26 巻 p. 27-34

詳細
抄録

人生80年時代を迎え, 国民の誰もが高齢化を無視することができなくなってきた.特に生産年齢後(65歳以上)の長い余暇時間をいかに過ごすかが今日的な大きな課題になっている.高齢期が健康で快適な時間でありたいと思うのは誰もが願うことであろう.「いかに長く生きるか」から「いかにうまく生きていけるか」であろう.我々は現代の高齢者の生活を探り高齢期の生活のあり方を把握しようと, 東京都東村山市の高齢者751名について質問紙を用いて調査を実施した.本研究はその中の特に社会的活動と個人的活動について分析, 検討した.社会的活動いわゆる仕事従事者およびボランティア活動参加者については女性より男性のほうがいずれも活発であったが, 男性のボランティア活動参加者以外は高齢になるに従いその数は顕著に減少傾向にあった.職種では男女ともに農業従事者が多かった.ボランティア活動の内容では男女ともに福祉関係を挙げていた.社会的活動(仕事, ボランティア活動)と個人的活動(旅行に行く, 友人関係, 外食は楽しみ)との関連では, 男性のボランティア活動参加者との間で有意差が見られ, 男性のボランティア活動参加者は個人的活動についても活発であることが明かになった.本調査の対象が老人クラブ所属の健常者であったためか, 全体的に見て個人的活動が活発な者が多かったことは確かであるがその中においても男性のボランティア活動と個人的活動の間に関係がみられたことは, 社会的活動が個人的活動に少なからず影響を及ぼしていると考えられる.社会的活動や個人的活動は快適な高齢生活を送るのには重要なことになってくる.「いかにうまく生きていけるか」の生き方がこのあたりから見えてくるようである.

著者関連情報
© 2001 名古屋文理大学
前の記事 次の記事
feedback
Top