名古屋文理短期大学紀要
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ニホンザルのLDLレセプター遺伝子の塩基配列 : エクソン4とイントロン4の5'側の配列
竹中 晃子野路 公子竹中 修
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2003 年 27 巻 p. 29-33

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抄録

高コレステロール血症は動脈硬化を引き起こし,心筋梗塞や脳梗塞の原因となる.家族性高コレステロール血症はLDLレセプター遺伝子の変異に起因することが明らかにされたが,遺伝子変異を有する患者への食事指導は今後重要な課題となる.実験動物としてはWHHLうさぎがよく用いられているが,ヒトにより近い霊長類の遺伝子変異が見いだされれば実験動物として利用価値が高いと考えられる.したがって,マカカ属サルのLDLレセプター遺伝子変異を見出すことを目的としてきた.しかし,エクソン4の領域の両端に設定したヒトの塩基配列に相当するプライマ―を用いてこの領域の増幅を試みたが,サルの塩基配列が異なるのか増幅できなかった.すでに化学合成していたサルのエクソン領域のプライマーを組み合わせて増幅することができたので,ベクターに組み込みクローニングを行い,延期配列を決定した.その結果イントロン4の5’側に設定していたヒトのプライマーとは4塩基がニホンザルでは異なり,特に,PCR法でDNAを増幅していく際の連結部位の2塩基の配列が異なっていたことが,増幅できなかった原因であると考えられた.さらに,ニホンザルのエクソン4の塩基配列も決定することができた.この領域は細胞表面に出ていてLDLと結合する重要な部位でありCysを含む繰り返し配列が存在しS-S結合により立体構造を維持している.エクソン4の381塩基のうち26塩基がヒトと異なっており,そのうちアミノ酸の置換を伴う変異が9つあり,6アミノ酸の置換は162から171の間に集中し,また荷電の変化を伴う置換が4つもあった.さらにプリン塩基とピリミジン塩基間の置換がこの中に5つもあった.

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