本稿は、確定給付型企業年金のリスク・マネジメントをサーベイするとともに、年金資産運用に関して独自の考察を加えたものである。企業年金のリスク・マネジメトは母体企業の視点からと企業年金の視点からの両面のアプローチがある。母体企業の視点からは、企業のライフサイクルと確定給付型企業年金のライフサイクルを意識すべきである。企業年金の視点からは市場リスクが重要である。過去、日本の企業年金は、株価下落と円高で大きな損失を被った時期があったからである。市場リスクのコントロールをするにあたっては、後追いを避けるなど様々なノウハウとともに、運用提案を受けた時にリスクを抽出できる高度な専門性が必要である。また、上昇の潜在的可能性も考慮する必要がある。その他、災害対策、不正経理、サイバーセキュリティー等のオペレーショナル・リスク対応も重要である。リスク・マネジメント体制の構築は終着点ではなく出発点であり、リスク・マネジメントの結果をモニタリングして、個別の企業年金に適するように改善を重ねる必要がある。