熱帯農業研究
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原著論文
ガーナ内陸低湿地の慣行農作業による水田水利施設を補強する植生管理
團 晴行 沖 陽子廣内 慎司
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2019 年 12 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

人口増加などを背景にコメの生産拡大が急務となっているガーナ内陸低湿地において,雑草防除がコメの生産阻害要因の一つとして挙げられる.被覆植物を植栽した水田水利施設では,導入植物以外の雑草を防除するといった維持管理技術の確立が重要である反面,被覆植物が田面に逸出し,水稲の生育に悪影響を及ぼさないような抑草技術の開発,さらには慣行農作業が被覆植物に与える影響についても研究する必要がある.このため,3種の導入候補植物を供した3つの試験を実施した.イネを移植する直前の雑草の生育が進行した稲田全面を対象に散布される代表的な3つの除草剤,グリホサート,プロパニルおよびブタクロールは,供試植物を抑草する一定の効果があり,農業改良普及員らが推奨する使用量を1/4量としても同程度の効果を示した.火入れにおいては,供試植物は一週間後から順調に再生するため,供試植物の毎年の再植栽が不要であること,火入れをすることで,供試植物の維持に必要な侵入雑草に対する手取り除草,および補植や刈り込み作業を省力化できる利点を確認した.本田での水管理に伴う2ヶ月の湛水期間では,供試植物を枯殺できず,落水4ヶ月後には再生する結果を得た.また,グリホサートを散布し,2週間以上,湛水させると供試植物を完全に根絶できることを実証した.

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© 2019 日本熱帯農業学会
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