熱帯農業研究
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原著論文
遮光処理がパッションフルーツの樹体生育および果実品質に及ぼす影響
島田 温史冨永 茂人山本 雅史
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2019 年 12 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

パッションフルーツ栽培における果実品質の低下等の高温障害を緩和するため,昇温効果のある赤外光を遮蔽する遮光ネットを供試し,種々の程度の遮光処理がパッションフルーツの樹体生育および果実品質に及ぼす影響について検討した.その結果,遮光処理により気温および葉表面温度が低下した.弱遮光区(遮光率約30%)では避陰反応や葉の陰葉化を呈さず,光合成速度が高く維持され,他の処理区よりも糖酸比の高い果実が多かった.しかし,中遮光区(遮光率約40%)では樹体に避陰反応が現れ,強遮光区(遮光率約60%)では葉の陰葉化も進み,開花も抑制された.さらに,強遮光区では果実の成熟日数が長くなり,小果で糖酸比の低い果実となった.以上のことから,パッションフルーツ栽培において,赤外光を遮蔽する遮光ネットによる遮光処理は気温および葉温を低下させ,約30%の遮光で光合成速度を高くし,果実品質を向上できることがわかった.

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© 2019 日本熱帯農業学会
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