熱帯農業研究
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原著論文
異なる窒素濃度の土壌施肥および葉面散布がシマカンギク(Chrysanthemum indicum)の生育および頭花のフラボノイド成分に与える影響
浅見 祐弥烏谷 亜紗子李 睿哲賴 宏亮
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2021 年 14 巻 2 号 p. 96-103

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抄録

シマカンギク(Chrysanthemum indicum)の頭花は生薬として用いられる.シマカンギクは野生品を用いられ,栽培方法が確立していないため,適切な窒素濃度の施肥および熱帯地域における栽培研究報告は少ない.また窒素葉面散布には土壌への窒素施肥に比べ,少量で即効性がみられ,収量増大が期待できる.そこで本研究では,まず異なる窒素濃度0, 4, 10および20 mMの4段階で土壌への最適な窒素施肥濃度を調査した後,異なる窒素葉面散布(Nitrogen Foliar Spray: NF)濃度0, 1, 2, 4および8 mMの5段階に設定し,生育,乾物重および花の成分含量を調査した.土壌への窒素施肥では生育および光合成速度の結果より,10 mM以上の時増加傾向にあった.さらに乾物重およびクロロフィル含量も同様に10 mMで飽和した.次に土壌へ10 mMの窒素施肥に加え,窒素葉面散布を行った結果では,NF 2 mM以上で葉乾物重および葉面積を有意に増加させた.総開花数および総花乾物重では,NF 8 mMで有意に高い値を示した.また1株あたりの頭花の総成分含量は6種の成分において,ともにNF 8 mMで有意に高い値を示した.以上より,土壌への窒素施肥は10 mMで飽和し,開花前後ではNF 8 mMの濃度が最適であることが示唆された.

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© 2021 日本熱帯農業学会
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