熱帯農業研究
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原著論文
異なる結果枝管理および摘房処理がビワ(Eriobotrya japonica (Thunb.) Lindl.)の果実重,結果枝の形状および樹冠に及ぼす影響
西澤 優荒木 小梅相場 可奈福留 弘康廣瀬 潤川口 昭二山本 雅史 朴 炳宰遠城 道雄
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2022 年 15 巻 2 号 p. 86-94

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抄録

ビワ果実を大果生産するための栽培管理方法の確立を目指し,‘長崎早生’(露地栽培),‘茂木’(露地栽培)および‘なつたより’(施設栽培)を用いて,結果枝の剪定・芽かき処理(中心枝のみ,中心枝+副梢1本,中心枝+副梢2本)や摘房処理(摘房率50%,30%,無処理)が結果枝の形状,果実重,樹冠および受光環境に及ぼす影響を調査した.その結果,どの品種も結果枝が少ない管理方法で太い結果枝が多く,果実重が重かった.また,結果枝および1果当たりの葉数も多かった.摘房率50%の‘長崎早生’および30%の‘なつたより’では,果実重が重く結果枝も太かったが,‘茂木’では処理区間に有意差は認められなかった.果実重と結果枝の形状との関係では,どの品種もr = 0.54以下で有意,もしくは相関に有意性がなく,結果枝の形状が果実重に及ぼす影響は小さいことが示唆された.結果枝の直径と葉数との関係は,‘なつたより’の中心枝のみ区以外で結果枝が太くなると葉数が増加することが示唆された.樹体の構造および受光状態は,摘房率50%にした‘茂木’で樹冠植被率が低く開空率と年積算光合成有効放射値が高かったが,樹冠の葉面積指数はどの処理区でも同等であった.一方,結果枝の管理方法の違いが葉面積や樹体の受光状態に及ぼす影響は小さかった.以上より,ビワを大果生産するためには,結果枝を少なく管理し,50%から30%程度摘房することで樹体の受光環境を改良した方が良いと考えられた.

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© 2022 日本熱帯農業学会
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