熱帯農業研究
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原著論文
種々の方法によるアボカドの耐寒性評価
島田 温史香西 直子山本 雅史
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2022 年 15 巻 2 号 p. 95-100

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抄録

近年,我が国ではアボカド果実生産の拡大が期待されているが,南九州以北で栽培する場合は冬季の低温が問題となる.そこで本研究では,葉のクロロフィル蛍光分析,変色程度および電解質漏出ならびに枝のFDA染色の4手法を用いてアボカド品種の耐寒性を総合的に評価した.葉のクロロフィル蛍光および電解質漏出ならびに枝のFDA染色では‘メキシコーラ’,‘フェルテ’,‘ベーコン’, ‘ハス’,‘ピンカートン’,‘チョケテ’および‘シモンズ’の7品種,葉の変色程度ではこれらに加え,‘ウィンターメキシカン’,‘エッティンガー’,‘ニムリオ’,‘マラマ’,‘リード’,‘リンダ’,‘カハルー’,‘ミゲル’,‘セルパ’,‘フルマヌ’,‘ホアンホセ’および‘サンミゲル’の計19品種を供試した.その結果,葉のクロロフィル蛍光分析(Fv/Fm)では-3 ℃において品種間差が見られなかったが,-9 ℃では‘メキシコーラ’が他の品種よりも有意に高かった.葉の変色程度では,-6 ℃において‘メキシコーラ’,‘フェルテ’,‘ウィンターメキシカン’および‘エッティンガー’では葉が変色しなかったが,その他の15品種では変色した.葉の電解質漏出による評価では品種間に有意な差は認められなかった.枝のFDA染色による評価において低温障害が発生した温度は‘ハス’で最も高く,最も低かったのは‘メキシコーラ’であった.以上のことから,本研究の電解質漏出以外の耐寒性評価は従前の報告と同様の結果を示し,アボカドの耐寒性評価方法として有効であることが明らかとなった.

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© 2022 日本熱帯農業学会
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