2018 年 39 巻 1 号 p. 10-19
ポリウレタン(PU)は,化学的な意味で,ウレタン結合を有する高分子化合物と定義されているが,工業的に,多くのPU は,ウレタンのみならず,ウレアなどの分子凝集力が高い化学結合から構成されている。それゆえ,広義には,それらの結合を形成する「イソシアネートから誘導される高分子」と定義されている。一般的に,PU の製造プロセスおよび生産性は,イソシアネートの化学構造により大きく影響される。さらに,PU の物理的性質を広く制御するために,多種多様な化学構造のポリオールが使用されている。そのため,PU の製造プロセス,成形加工法および用途も多岐に渡っている。PU は,マスプロダクトの汎用性をもつ反面,少量多品種の高い機能が求められるファインケミカルの側面があるため,絶えず高機能化や環境対応のための研究開発が行われている。本稿では,まず,イソシアネートおよびポリオールの化学について,概説した後,PU の製造プロセスおよびその原材料の特徴ならびにそれらの最近の進歩について,紹介する。