2018 年 39 巻 2 号 p. 84-90
両親媒性ブロック共重合体をエポキシ樹脂に混合したネットワークポリマーブレンドに関し,ナノ相構造形成機構,及び相構造と力学特性(破壊靭性,弾性率)の関係について論じた。具体的には,フェノールノボラック (PN)硬化ビスフェノールA 型エポキシ樹脂(DGEBA)/ポリメチルメタクリレート-b- ポリブチルアクリレート-b-ポリメチルメタクリレートトリブロック共重合体(PMMA-b-PnBA-b-PMMA)ブレンドを研究した。 DGEBA/PN マトリックスと非相溶なPnBA 成分の相分離による20 ~40 ナノメートルサイズの周期構造がブレンド組成中に硬化前段階から存在した。硬化後のネットワークポリマーブレンドには,球,シリンダー,ベシクル,ラメラ等の種々のナノミセル構造が自己組織化された。同一PnBA 量での比較において,シリンダー状ナノミセル構造を有するエポキシポリマーブレンドがもっとも強靭であり,また,ラメラ状ナノミセル構造がもっとも低弾性率なポリマーブレンドを与えた。これらの物性発現機構を顕微鏡観察により明らかにした。